第50話 <お姉ちゃんへ>


  「君の友人を死なせてしまった事」

 「謝罪しよう」


 この言葉は、本質ではない。

 けれど、義徒は謝罪した。

 落ち着きを取り戻した、紳士的な義徒の行動だった。

 落ち着いていても、義徒のわきがは臭い。


 「友人じゃないわ」

 「私の妻にするつもりだった美少女よ」


 「そうか」


 「なら、というわけでもないが、この杖は君に」

 

 「メルメちゃんが使っていた杖だった」


 「ただの、店売り300Cの初心者用の杖だがな」


 「ありがとう」

 「受け取っておくわ」


 「それと、1番重要な渡し物はこの手紙だ」

 

 義徒が、義徒には似合わない可愛い封筒を渡す。

 義徒の4552億倍以上に可愛い封筒だ。

 

 「メルメちゃんは、死を感じ取ったのか」

 「最後に、私に手紙を渡した」


 封筒には、お姉ちゃんへと書いてある。


 封筒を開けてみる。


 <お姉ちゃんへ>


 <死ね>

 <お姉ちゃんは、私のマムとダッドも殺しました>

 <どうか、せめてお姉ちゃんが死んで下さい>

 <私を憐れんで、死んで下さい>

 <魂まで消滅しろとまでも言いません>

 <せめて、今のお姉ちゃんでも死んで下さい>

 <きっと、私の魂は消滅します>

 <だから、転生したお姉ちゃんを殺しに行く事はできません>

 <どうか、死んでください>

 <お姉ちゃんに少しでも人の心があるのなら>

 <死んでください>

 <お姉ちゃんに罪を自覚する能力があるのなら>

 <死んで下さい>

 <何一つ、返してくれとは言いません>

 <お姉ちゃんには何一つ返せないから>

 <お姉ちゃんは、私のお友達の1人でも返せますか>

 <だから、死んで下さい>

 <にゃー1匹でも返せますか>

 <返せませんよね>

 <だから、お姉ちゃんは死ぬしかないの>

 <お姉ちゃんと食べたすとろべりーぱふぇは吐きそうだったよ>

 <美味しかった>

 <死んで下さい>

 <お姉ちゃんがいなければ>

 <マムとダットと3人で食べられたよ>

 <ほら、早く死んで>

 <なんで、まだこの手紙を読んでるの>

 <もう読まなくていいから>

 <私は、お姉ちゃんに更生も改心も望んでいません>

 <お姉ちゃんは死ぬしかありません>

 <早く死んでよ>

 <早く死ね>

 <今すぐ死ね>

 <なんでまだ生きてるの>

 <死ね死ね死ね死ね死ね死ね>



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