第33話


  集団は、もう私に興味をなくしていた。


 「端守義徒、MMORPGなんてやるんだぁ」

 「なぁにぃ、義徒がMMORPGやってみたとかやって」

 「アクセス数でも増やすつもりなのかなぁ」


 声の主は、メルメちゃんだ。


 「今更アクセス数なんて増やして何になるのよ」

 「最も、貴方達が外に出てこないから」

 「人間がどんどん死んじゃったんだから」

 「元々少ないアクセス数を増やせなんてしないよ」

 「炎上狙いでもやる気なのかなぁ」

 「カスがぁ!今すぐ腹切って詫びろよ!」

 

 メルメちゃんが切れ散らかしている。

 

 「なんなんだこのメスガキ」

 「分からせてやろうかメスガキィ」

 「口という口に腕突っ込んでぴーぴー泣かしたろかロリガキ」


 当然、義徒を称える人群衆の前で義徒に腹切って詫びろなんて言えば、群衆がメルメちゃんに怒りを向ける。


 うーん、メルメちゃんはただ現実世界からログインしてるだけなんですから、このゲームで殺されても、デスペナルティがあるだけだし。

 まだ全プレイヤーが始めたばかりなので、失うような経験値なんて誰もが持ち合わせていないと思うのだけれど。

 まだ、このフルダイブ型VRMMORPGで出来る事を把握はしていない。

 もし、苦痛を与える事や辱めるような事ができるのなら、放ってはおけないわね。

 普通、そんな危険なオンラインゲームが認められるわけはないけれど。

 もし、プレイヤーをプレイヤーが拘束してログアウトできなくさせられるなら。


 「メルメちゃん、この場でそんな事言ったら、貴女への暴言が止まらないわよ」


 私は、メルメちゃんに近づき声をかけた。


 「悪党の親玉お姉ちゃん」


 ぴろんっ。私は、<悪党の親玉お姉ちゃん>という称号を得た。


 「今このロリガキが、悪党の親玉って呼んでたわよ」


 また、メルメちゃんの言葉に反応した者もいる。


 「お姉ちゃんも悪党で人殺しのクズだよ」


 「でも、そんなクズを、悪党共に」

 「何もせず、人類が滅びていくのを」

 「ネットで見ていただけの」

 「カス野郎共が」


 群衆の怒りは上昇していく。

 当然よね。


 「何もせず天水島の結界の向こうから出てこなかった臆病共ども」

 「貴方達にも、怒りが頂点してるのよ」


 あの、メルメちゃん。

 貴女の怒りは私にも分かります。

 人類が滅びていったという、そこは分からないけれども。

 水守が何もしなかった事への怒りは私にも分かります。

 人類は、水守ではなく、人類でなんとかしてきたのです。

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