3.「ち、違う…これは…そう、これは修行じゃ!♡忍に必須の技能、房中術の修行じゃ!♡」
忍になる為には過酷な修行が必要だ。まず最初に幻魔が教えてくれたのは、あらゆる状況を想定して戦う訓練だった。
「いいか。忍者にとって最も大切なものは情報じゃ。敵を知り、己を知ること。敵を欺くにはまず味方からと言うじゃろ。つまり何事も情報収集が大事だという訳じゃ」
「なるほど!」
「そこでじゃ!まずは情報を知らなければ話にならん。だからお前に修行をしてもらうぞ」
幻魔はそう言うと、巻物を懐から取り出した。そこには達筆な字でこう書かれていた。
"幻魔流・忍びの心得~初心者編~"
「これは代々の幻魔に伝わる由緒正しき書物じゃ(昨日書いた)。これを読めば忍びの基礎知識が身に付く優れものよ。ほれ、読んでみぃ」
「えっと……忍とは……」
~忍とは何か~
古来より忍術と呼ばれる不思議な技を使う者達がいる。
それは様々な自然現象を操るものであり、炎や水、雷などの力であると言われている。
それ即ち妖力…魔力…巫力…法力…呼び名は違うが全て同じ力を源泉とするものだ。
この国において、忍は人間とは異なる存在…半化生と呼ばれる種族の者がなる事が多い。
彼女達は人間よりも妖力の扱いに長けている為だ。忍は代々の秘技を継承し、その技術を以ってして国を影から支えてきた。
だが、忍は忍だけにて活動するものに非ず。時には他の勢力と協力し、時には他の組織に潜入し、時には大名家に仕え、またある時は敵国に雇われ、暗躍する事も多々あった。
世は戦国時代。各勢力の力は拮抗し、戦乱の世が続く中、人々は常に争いの中に身を置いている。故に忍の需要は常に高いものであった。
しかし、決して忘れてはならない事がある。それは"忍は正義ではない"という事だ。
闇に生きる彼女らは時に悪と見なされ、その身を狙われる事がある。
もし捕まれば拷問を受け、処刑される事もある。例え逃げ延びたとしても、その先に待っているのは破滅のみであろう。
だがそれでも、忍を辞めるという選択肢は無いに等しい。何故ならそれが彼女達なりの生き方であり、誇りでもあるからだ。
「ふむふむ…」
少年は巻き物を読み終えると、感心したように何度も首を縦に振った。
幻魔はそんな少年の様子を満足げに見つめながら口を開いた。
「どうじゃ?これが忍というものじゃ」
「すごいです!!まるで漫画みたいですね!」
「まんが? なんじゃそれは?」
おっといけない。つい前世での知識を口に出してしまった。
少年には前世の記憶がある。それは彼を形作る上でとても重要なものだった。だが、だからこそ少年の目にはこの世界が奇妙にうつっていた。
母の話によるとこの世界は女性が戦い、男性を守るというのだ。女性は男性よりも遥かに強い力を持ち、男は虚弱な上に数が極めて少ないという。
少年はそんな女尊男卑の世界に疑問を抱いていた。しかし、それを母に言ったところで理解してもらえない事は分かっていたので、少年はあえて何も言わなかった。
「な、なんでもないです!それより母…じゃなくて師匠!妖力というのは一体なんですか?」
「うむ?あぁ、妖力というはな…儂やお前のような半化生が生まれながらにして持つ特別な能力の事じゃ。その力は様々で、火を出したり水を操ったり、風を起こしたりと、普通の人間では不可能な事をできるのが妖力じゃ」
幻魔は少年に見せつけるように手を翳す。すると彼女の掌から小さな火の玉が現れた。
少年はその光景を見て目を輝かせる。まるで魔法のように自在に火を操る幻魔の姿は少年にとって憧れそのものに見えたのだ。
「わぁ、凄いです師匠!」
「ふふん。そうじゃろそうじゃろ!」
少年に褒められて幻魔の耳と尻尾がピクピクと揺れる。タヌキの半化生である彼女は感情を体で表す癖があった。
少年はそんな母の尻尾が大好きであった。あのモフモフでふかふかの茶色い尻尾…ずっと触っていたくなるほど気持ちが良い。
少年もキツネの半化生なので尻尾はあるが、母のようにポンポコはしていない。いつかタヌキの尻尾が欲しいと彼は思っていた。
「お前にも出来る筈じゃ。男とはいえ半化生…その身には妖力が宿っているだろう」
「そうなんですか?」
「うむ。キツネの半化生はその妖力に応じて尻尾の本数が増えると聞くが…お前はまだ一本しか生えておらぬ。だが、それでも今儂がやった術くらいは出来るじゃろ。ほれ、やってみい」
「はい!」
少年は元気よく返事をすると、両手を前に突き出し精神統一を始めた。そして頭の中でイメージする。
自分の中の妖力を手先まで流す……流れる……流れ……
ボフンッ!!!
「おおっ!?」
突然、少年の掌から真っ赤な炎が噴き出した。それは幻魔のそれと比べればささやかなものであったが、確かに少年の妖力によって生み出されたものだった。
「出来た……僕も出来ましたよ、師匠!!」
「うむ。しかと見ておったぞ。流石は我が息子、我が弟子じゃ!それでこそ幻魔を継ぐ者に相応しい!」
幻魔は嬉しさのあまり少年を抱き締めた。少年の顔は幸せいっぱいといった表情になる。
「(やっぱりお母さんっていい匂いがするなぁ)」
少年は幻魔の胸に顔を埋めながらそんな事を考えていた。
少年は母の事が大好きだ。母はいつも優しく、時に優しく、誰よりも優しく、自分を導いてくれる。そして何より……たゆんたゆんと揺れる大きな胸が好きだった。
赤子の時はその乳房から母乳を飲んでいたが、今は流石に恥ずかしくてそんな事は出来ない。
でも、少年は今でも母の感触を忘れる事は無かった。
「(うぅ…母上のが顔に当たって…)」
少年は興奮していた。鼻息荒く呼吸を繰り返す度に、幻魔の大きな胸がぷるんぷるんと震えている。
「ん?なんか当たって…」
幻魔は息子の様子がおかしい事に気づき、視線を下に向けた。そこには顔を赤くしながら己の胸部に頬擦りする少年の姿があった。
そしてその下…幻魔は瞬時にそれが何かを理解した。
「あっ…♡♡」
幻魔の口から艶めかしい声が漏れる。
少年は前世の記憶があるせいで女性に対する対応がこの世界の男とは違う。この世界の男は基本的に淡白で女を嫌う傾向にある。
女は女で男を物扱いし、性の捌け口として見る事が多くそれが更に男女間の溝を深くしているのだ。
だが少年は違った。少年は女性が大好きだったし、幼い頃から母に対して並々ならぬ愛情を持っていた。母の為に何でもしてあげたいという想いが彼の中にあった。
対してそんな少年に幻魔は母性本能のようなものを感じていた。まだ幼いにも関わらず、自らの胸に欲情した姿を見ると愛おしさが込み上げてくる。
だからこそ、その母性が災いした。幻魔は少年の行動を見て性的欲求を感じてしまったのだ。
「あぁ……あぁ……♡♡」
幻魔は身体の奥から熱が溢れ出すのを感じた。その熱はどんどん大きくなり、やがて全身へと広がっていく。
そして、幻魔の理性は決壊寸前となった。
「母上……?」
少年は異変に気づく。急に黙ってしまった幻魔を心配して声を掛けるが、幻魔は反応しない。
幻魔は少年の肩を掴むとゆっくりと引き離し、そのまま地面に押し倒した。
「えっ……?」
少年は何が起きたのか理解出来なかった。幻魔は自分の上に馬乗りになると、少年の服を脱がせ始めたのだ。
「し、師匠!?何を!?」
「ち、違う…これは…そう、これは修行じゃ!♡♡忍に必須の技能、房中術の修行じゃ!♡♡」
「房中術!?」
「そ、そうじゃ!!お前は将来、我が幻魔の名を継ぐ者として相応しき者にならねばならぬ!!その為にはまず、色々と覚える必要がある!!だから、その、今日は特別授業じゃ!!♡♡」
鼻息荒く幻魔は言った。その目は欲望に染まっており、明らかに正気ではなかった。
少年は少年で幻魔の火照った艷やかしい身体にあてられて、思考回路がショートしていた。
修行…
これは修行…
じゃあいいかぁ…♡♡
少年と幻魔は互いに見つめ合うと、どちらともなく唇を重ねた。
「ちゅぱ……んっ……ふぅ……んむっ……はふっ……♡♡」
舌を絡め合いながら唾液を交換し、互いの口腔内を犯しあう。
少年は生まれて初めてする男女のキスに夢中になった。初めて感じる快感に頭がクラクラする。
これまでも母とキスをした事はあるがそれはあくまで親子のキス…このような濃厚な大人のキスは初めてだった。
「んっ……ぷはっ……♡♡どうじゃ、気持ち良いじゃろ?これが房中術の基本じゃ。これから毎日欠かさずやるぞ?♡♡」
「はい……師匠……♡♡」
二人は再び唇を重ねると、今度は互い違いになるように位置を変えながら何度も口付けを交わした。
「はぁはぁはぁ……次は実践じゃ…♡♡」
幻魔は少年を抱きしめると、頭を撫でる。少年も嬉しいのか彼女の胸に顔を埋め甘えるような仕草を見せた。
「これから毎日修行じゃ…♡♡覚悟するんじゃぞ♡♡」
「はい、師匠…♡♡」
二人は見つめ合うと、どちらともなく唇を重ねた。
こうして二人の禁断の関係は幕を上げたのだった。
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