第10話 処女の性欲を舐めていました

「優馬殿?」


「どうしました?楓お嬢様?」


「おかわりでござる」


「少々お待ちを」


 思うんだけど。

 なんか意外と楽しいかもこういうの。

 初めは執事かよーって思ってたけど。


 やってみると印象変わった。

 俺は嫌いじゃない。

 お茶を入れて楓のところに向かう。


「お待たせしましたー」


 お茶を置いた。

 その瞬間だった。


「お嬢様?」


 楓が俺の手首をつかんでた。

 がっちりしてて離れそうもない。


「なんです?」


「3000円払うので飲ませてほしいでござるよ」


 え?飲ませるだけでいいの?


 俺は風音を見た。


「やってあげればいいと思う。お客様の要望に答えるのも執事のお仕事だよ?」


 物は試しだ。

 やってみようか。


 楓の横に座った。


「ばああああぶうううううう」


 赤ちゃんみたい。


 コップを持って口に近づけるとごくごく飲んでいった。


(かわいい)


 ほんとうにこれだけで3000円なんだろうか?


「ふー、満足でござる」


 すっ。

 3000円を手で渡してきた。


 受け取る時に手と手が触れ合った。

 楓の顔が一瞬で赤くなった。


 シュバッ!

 楓が勢いよく手を引っこめた。

 なんか、既視感があると思った。

 この反応はあれだ。


(女の子と手が触れ合った童貞みたいな反応。前の世界の俺のことなんだけど)


 俺も女の子と手が触れ合ったら恥ずかしくて似たような事やってたなぁ。


「申し訳ございません。お怪我などありませんか?お嬢様」


(それにしてもお茶飲ませるだけで3000円とかちょろいぜこの仕事。楽勝だな)


 お金を財布の中に忍ばせた。

 大事に使おう。


(てか、忘れてたな。お礼言っとくか。お買い上げありがとうございますーって)


 俺と楓の目があった。

 なんか、顔つきが変わった気がした。


「もう、我慢できんでござる」


 次の瞬間。

 感じたのは背中から地面に落ちるような浮遊感、落下感?だった。


(え?あれ?俺もしかして押し倒されてる?)


 気付いた時には背中が畳についてた。

 俺は仰向けに寝てた。

 俺の上で馬乗りになってる楓。


 楓は俺の両手を掴んで顔の横で固定してた。


「はーはー。」


 めっちゃ呼吸荒くなってた。

 ついでに、目が充血してて、鼻血ドボドボに出てる。


「誘ってるでござるよね?」


(え?誘ってませんけど……?)


「えーっと、お嬢様?」


 いったい何を見て誘ってると思ったんだろう。

 てか、俺今から襲われる感じ?(この展開そうだよな?明らかに俺今からレイプされるよな?)


 めっちゃ嬉しいんですけど?

 夢だったんだよなぁ、美少女にめちゃくちゃにレイプされるの。


 楓は口元めっちゃ歪めてる。

 口の端からヨダレだらだら。


 まるで、獲物を食べる前のケダモノみたいだ。


(あっ、垂れてきた。顔にかかる)


 まぁ、でもいっか。

 この子かわいいしな。

 語尾は変だけど。


 てか、唾飲ませて欲しい。飲みたい。

 ペットボトルに満タンに入れて飲ませて欲しい。


「拙者のこと好きなんでござろう?」

「え?(どゆこと?それだけは意味が分からない)」


 俺、なんか勘違いさせるような行動したのかな?

 別に好きじゃないけど。


「さっき目があったでござるよね?あれは拙者のこと好きな証拠でござる」


 ひょっとして、それだけっ?

 あ、これ……


「絶対処女じゃん」


 ふと、そう呟いてみたんだけど。

 めっちゃ顔を赤くしてた。


「しょしょしよしょ、処女じゃないでござる。ヤリまくりでござるよ?せせせせ、拙者は」


 めっちゃ声震えてますよ?

 俺は安心させるように口を開いた。


「俺は処女の方が好きだよ?(尽くしてくれそうだし、浮気とかもしなさそうだし)」


 ごくり。

 ここまで聞こえるくらい唾を飲み込んでた。


「もうやっていいでござるよね?そんなこと言われたら我慢できないでござる。先っちょだけだから。いくらでやらせてくれる?」


 俺は風音に目をやった。

 風音の方は呆れてた。


「さすがにそれはどうなの?楓」


「ここまでやらせといてお預けはなしでござるよ。それに拙者たちは両思いでござる」


 やばい。

 俺をめぐってぎすぎすしてそう。

 俺のために争わないで欲しい。


 ていうか、止めてもらうために目をやったわけではない。

 相場が聞きたい。


「風音」

「なに?今から引きはがすから待ってて」

「いや、そうじゃない。相場はいくら?」

「え?相場?分かんないよ、そんなの」


 キョトンとしてた。


 楓が口を開いた。


「よくわからんでござるが。五万まで出せるでござる。はやくやらせるでござる」


 ていうか、楓みたいな美少女がこんな下品なこと言ってるの違和感しかない。

やめさせよう。


 俺もさっきから痛いんだよね。

 ずっと立ちっぱなしだし。


「わかった。五万でいいから、早くやろう(ギンギンで痛いし収めたい)。それでその下品な言葉を口から吐くのやめにしない?」


「受け取るでござるっ!魂の5万円!」


 楓は財布から現金五万円抜いて、俺の顔の横に置いてきた。


「拙者の子を産むでござる。2人で元気な子を育てるでござる」


 俺は冷静に考えていた。


(産むのはあなたでは?)



「桃源郷が見えたでござる」


 賢者モードになってる。


 風音たちは空気を呼んで出て言ってたのだが、事が終わったのを察したのか戻ってきてた。

 隅の方でお茶を飲んでちゃんと茶道部してる。


「よし、きめたでござる」


(なにを決めたのだろう?)


「優馬殿には申し訳ないことをした気がするでござる。拙者は最悪だ。お金で男を買うなんて」

(別にそんなこと思わなくていいのにな。誰も不幸になってないし)


「ところで優馬殿は今日みたいにレイ〇されたらどうするでござるか?執事服なんてエロい姿をしていたらこれからもレイ〇され放題でござるよ」


 そんときは仕方ないんじゃない?

 俺は別にレイプされてもいいんだけど。

 なんならされたい。

 かわいい女の子にちょっといじめられたい。


「そこで拙者は考えた。拙者がナイトになって優馬殿を守るでござる」


 ナイト(レイパー)さんが俺を守ってくれるの?

 ほんとにぃ?

 守れるの?


(まぁ、でもたしかにこの世界はいろいろ逆転世界)


 こんな密室で男の俺が一人でいたら集団レイプされる可能性もある(基本的にはウェルカムだけど)。そのままエスカレートして暴力行為に繋がる可能性もなくはない。

 そうならないためにも目を光らせる怖いお姉さんがいてもいいかもか。


 でも、この人押し倒してきたんだよなぁ。


 俺の事レイプしたりしないのかな?


 妄想した。


(ふへ……1回くらい大人数にめちゃくちゃにされてみたいかも)


 ぶっちゃけ、ウェルカムだ。

 勝手にレイプしてください。


 この世界に来て分かったけど、俺は攻めるより攻められる側の方が向いてる気がする。(ここまでずっとマグロだし)


「なんでござるか?その目は」


「いや、なんでもない」


「報酬は特にはいらんでござる。その代わり毎日見抜きしたいでござる」


「まぁ、見抜きくらいなら好きにしてくれていいよ?」


 てか。

 ん?見抜き……?

 女の子も抜くのか?


「ふへ、ふへへへへへ」


 楓はニヤニヤと俺を見ていた。


「取引完了でござる。これからは拙者がずっと守るでござるよ。優馬殿。安心なされい」


 そういえば、気になってたことがある。


「部長、今日他の部員来ないの?さっきから誰も来ないけど」


 俺の質問に答えたのは風音だった。


「私が手回しして一般部員は休みにしてる。だから今日は私たちしかいないよ」


 そうだったのか。

 道理で俺たち以外の部員が来ないわけだ。


 ていうか、


「風音、こんな好き勝手しててほんとにいいの?」


 常識的に、ちょっとこれはまずいんじゃないの?っていう気持ちが湧いてきていた。


 俺がそう聞いた時だった。


 コンコンコン。

 部室の扉がノックされた。

 風音が呟く。


「おかしいな。今日は部室休みと言ってるはずなんだけどな。人が来ると思えないけど」


 風音が扉を開けにいった。

 開けた扉の先に立ってたのは……


(生徒会長じゃん)


 この学園の女子生徒会長が立ってた。

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