僕の終わりとソフトなワンダーランド

Judo master

第1話 鏡の話

「ねぇ、ねぇ、あわせ鏡の噂は聞いてる?」


「悪魔が呼び出せるってあれ?、それとも、

自分の死に顔が見れるってやつ?」


僕たちは、星新一とか、眉村卓の話に出てきそうなな話で、短い10分休みを費やした。


放課後になってあまり顔を見たことがない少女が、先程の話を聞いていたのか、話しかけてきた。


「さっき、合わせ鏡の話をしてたけど、

 やったことあるの?」


「ところで、君だれ?同じクラス」


「サイトウヒナタ、クラスメイトのはずよ。

 ニシジマ君だよね。」


「惜しいが、ヒガシジマだ!サイトウは、

 あんな都市伝説に興味があるのか?」


サイトウさんは、すこし困惑気味に口をひらいた。


「ヒガシジマ君は、鏡の国のアリスの話を

 読んだことある?」


「あの鏡の中の異世界話、多分、読んだけど、

 覚えてないかな?いろいろ逆とかみたいな、、」


「実はね、、」


「ナーニ、親密に話しんてんの?お二人さん! 


割り込む意図はなかったようだが、

休み時間に一緒にら盛り上がっていた

サカガミさんが、話しかけてきた。

帰りに参考書を見に行く約束をしていた。

気がつくと、サイトウさんは消えていた。


「噂になるわよ!?、あの子、誰?」


僕はその言葉を聞いて、


「一緒に参考書を買いに行くのも、噂のテンプレみたいなもんだろ。」と思いながら、


「同じクラスのサイトウさん、

 サイトウヒナタさん。」


「サイトウヒナタ?ユキでなく?それに彼女、

 もう、この学校にはいないはずだよね、、」


「何それ?」


「噂で聞いてないの?サイトウさん、

不登校と成績不振で転籍したって話、

あの噂とは別に、消息不明とか、

病死説まであるのよ!

私もあまり話した事ないけど」


あの不思議な一日から、一年ほど、

サイトウヒナタさんとは会えなかった。

僕たち高校生の周りには、噂が絶えない。

噂を僕は信じない。噂とは、悪意のある嘘と、

意図を持って作られた話だと思っている。


無邪気な噂を楽しむことはあっても、僕が知りたいのは真実だけである。噂の中には、真実の影が残っていて、興味を惹かれて噂もある。真実は一つ、なんて軽い少年マンガを読む年齢ではないが、噂の背後や真下に隠れている様々な真実を知りたい。


あの日、サイトウさんが、言いかけた

「実は、、、」

の続きは何だったのだろう?


あの日から、たまに僕は

「西島くん?」

と間違われて呼ばれる。


さらに僕と付き合っていると噂された

坂上千晶さんが夏休み前に姿を消した。


しばらくして、

「西島くんだよね?」と声をかけてきた女の子は、

千晶(チアキ)ちゃんと全く同じ顔をした

坂上千晴(チハル)さんだった。

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