第9話

九話



「色んなものがあるね〜これとかどうよ!セレナ、こういうの好きでしょ?」

ユキは店頭に並ぶ黄金に輝くネックレスを指差し私に笑顔を向ける


「ん〜、そうだなぁ……どうしょう、やっぱり都会は欲しくなっちゃう物が多すぎて決められないなぁ、」

「買っちゃえば良いんじゃない?お金には余裕があるでしょ?」

「ん〜そうだね買っちゃう!」

私達は店へと入り各々アクセサリーを購入し早速身に付ける


「どうどう?セレナ!」

ユキは簪を購入し黒く美しい髪を止め私に見せびらかす

「イイね!とても似合ってると思うよ、やっぱりユキは素材が良いから何でも似合うね!」

「えへへ……褒められると嬉しいな……」

「今度はあそこに行かない?」

「ん?」

私が指差す方向にはテレビで紹介される程有名な二郎系ラーメン屋がある

食べ歩きが可能らしくそれも人気の理由の一つなのだろう


「いいねぇ、久し振りに二郎系、食べてみようか」

「行こう行こう!ありがとねユキ」

私は同意してくれたユキに感謝を告げ店へと駆け足で向かう


「人多いね、」

「まぁもうすぐお昼時だし、それに有名だからね、」

「まぁそう言う事かぁな……ん〜どのトッピング食べようかなぁ」

ユキは店の看板を凝視しどれを食べようか悩んでいる

「これとかどうよ」

私は看板に書かれたとある商品を指差す

「おぉ〜イイねぇでもこれも捨て難いのよねぇ、やっぱりガツンと食べたいじゃない」

「久し振りだし……贅沢しようか」

「やったぁ!ありがとセレナ」

「ユキにはいつも助けられているからね」


「次のお客さんどうぞぉ〜」


「私達の番が来たようだね」

私達は店員に促され食券を買い商品を貰い店を出る


「やっぱりラーメンは食べ歩きに限るね」

「そりゃあ当然、それにこんな都市に来る事なんて殆どないから楽しまないとね」

「やっほーい!」

私達は久し振りに来た大都会という物に浮かれ散財したのだった


都市に来てから十数時間後

日が暮れ空が暗く成り始めた頃

私達は帰るため都市の出口へ向かっていた


そしてふとユキが話し始める

「朝も人が多かったけど夜も人が多いね……」

「まぁ、大きな都市だからねぇ、夜は朝や昼に開いてなかったお店も一斉に開く時間だから賑やかになるんだよ」

「まぁそっか……」

そうやってトボトボと歩いていると


「痛っ」

頭に物凄い衝撃が入り横の裏路地にフラフラしながら倒れ込む


「あぁ、頭の骨何処か逝ったァ」

そんな事を言いながらユキの方向を見ると全身金ペイントのムキムキ全裸ハゲ男がユキの刀を止めながらこちらに足を突き出し私を見つめている


「ひぇ」

私はその意味の分からない状況に一瞬恐怖したが杖をポケットから取り出し金ペイントに向ける

その瞬間


「ぐぅ……」

突然横から何者かが出現し私を蹴る

突然の衝撃に私は少し後ろに後退し杖の構えを解除させられる

そして体勢を立て直し前を見ると

妙な力を放つ腰に付けられたベルトを中心に銀の装飾の施されたヒーロースーツの様な物を着用した人物が立っており私の前に立ち塞がる


そしてその人物が動き出す

彼は私の方に走り出し殴る蹴るの攻撃をしてくる


「なんて攻撃……」

彼の攻撃一撃一撃が重く当たれは無事では済まない

私でも避けるので精一杯で攻撃等出来るはずもない

そんな中でも何度も避け何とかその場を逃げ出しユキの方を見る


すると血の付いた刀を持ち金のペイントの男の首を抱えたユキが私に手を振っており

ユキに抱えられた男の苦悶の表情からもユキが圧倒的勝利を獲得したのだと分かる


そしてユキの所に逃げ込み裏路地の方を見たその時

上から声が発せられる


「そこ迄だ!」

上を見ると作業着に革のジャンバーと言う妙な格好をした男が妙な力を放つベルトを付け珍妙なポーズを取る

すると男から眩い光が放たれ光が落ち着いた頃には金の装飾の施された先の銀の人と似た衣装をした人が立っており勢い良く回転しながら下へ舞い降りた

彼はこちらに振り向き言う

「ここは私に任せて君達は逃げなさい!」


彼の言葉通り私がユキの手を掴み動こうとした瞬間

銀の人が金の男の胸を蹴り飛ばし私達の方へ走り出す

しかし金の男が銀の人の足を掴みながら横に転がり銀の人諸共裏路地へと消えていった


私達はその隙にその場を離れ都市の外郭にあるホテルへと逃げ込んだ


「はぁ……はぁ……」

「ここまで逃げれば大丈夫でしょ……ねぇ?ユキ?」

「どうだろう、一応タクシー呼んだから後少し待てば帰れるよ」

「よ、良かったぁ」

私は先程の意味の分からない出来事を思い出し

その混沌さから気分が悪くなる

「セレナ?大丈夫?」

「大丈夫だよ、ちょっとさっきの事を思い出すと気分が悪くなるだけだから……」

「あぁ……」

「そう言えばさ」

「何?」

「金ペイントの男大丈夫だった?」

「あぁ……あの変態か」

「刀掴まれてたけど」

「それね、刀を取ろうと引いたら肩ごと切っちゃってさ、楽にしてあげようと首取ったのよ」

「それにしては男の表情凄かったけど」

「抵抗するから四肢切り落としてから首取ったんだけどその過程で変な所も切っちゃったみたいでね」

「あぁ……」

ユキが連絡用のデバイスを取り出す

「もうそろそろじゃない?」

ユキのデバイスを覗き込む、そこには丁度都市に入るタクシーの現在地が映し出される


もうこの危険な場所から抜け出せると安心し背伸びをする為視線を逸らすと銀の人が何処からか出現しこちらに全速力で向かってきている


「ユキ!」

私はユキの手を掴み走る

全速力で走るとこちらへ向かうタクシーが現れ乗り込む


「こちらの住所まで!」

私は運転手に店の住所を見せ早く車を出す様促す

そうしてる間にも銀の人との距離は縮まっておりもう追い付かれると思い武器を構えた瞬間

銀の人の頭が突如出現した金の男に飛び蹴りされ横に転がって行く

それと同時にタクシーが出発し

銀の人達との距離は遠くなり数十秒後にはもう見えない程の距離となる


「はぁ……」

疲れた私はユキの肩に持たれゆっくりと目を閉じるのだった














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