第30話 大国の面子

球国軍は相対している罫国軍にまだ突撃されずにいた。そして痺れを切らした球国大将軍の汗唖は先頭に立って両手を広げた。近くの球国軍歩兵達は下がるよう懇願したが聞く耳を持たなかった。

汗唖(球国大将軍)「相対する罫国と共に戦う列国の者共に物申そう!我は名を聞かせるだけで敵が糞尿を漏らして逃げるほどの球国を代表する大将軍の汗唖だ!この俺を前に逃げ出さないことを先ずは褒めてやろう!だが!俺と戦っても勝機など万に1つもないぞ!ならばさっさと諦めて我が軍に道を開けて王都まで行かせよ!それが貴様らにとって最良の判断ぞ!」

相対している罫国大将軍の楽阿寒は汗唖の言葉に何も響くものがなく、無視していた。そして無視を続けると汗唖が先頭に立って球国軍を率いてい突撃を仕掛けた。勢い任せの突撃で最初は罫国軍に甚大な被害を与えたが楽阿寒の防衛によって球国軍の勢いを止めてきたが汗唖と汗唖の精鋭兵だけは突破力を維持して進んでいった。空いた穴に数で圧倒的に勝る球国軍が入り込んで防衛線は徐々に崩れていった。

目市(楽阿寒軍将軍)「楽阿寒様、滅装殿とその部隊が壊滅したと…滅装殿を討ち取ったのは知っての通りですが汗唖です。滅装隊も攻撃不能で既に全員が狩られた模様です。球国軍は我が軍の第1陣の後方まで迫ってきています」

楽阿寒(罫国大将軍)「そうか、此処までは予想済みだ。想定内である。第2陣の大将である網嵐を出せ。奴は汗唖を討ち取れる」

そう言うと網嵐は数騎ほど率いて第1陣に入った。そして近くの球国軍歩兵達を荒らしていると目の前に汗唖が現れた。汗唖は容赦なく大矛を振って網嵐を斬ろうとするが網嵐も矛でそれを受け流す。

網嵐(楽阿寒軍将軍 )「中々の男だ。久しぶりに血を流す死闘を繰り広げられそうだ。先ずは名乗ろう。網嵐だ」

その言葉に反応をした汗唖は馬を少し退かせ、大矛を肩に乗せた。

汗唖「汗唖だ。貴様は俺のために今日、死ぬのだ。だが心配することはない、今日でお前の仲間を1人も残らずにお前の元に送ってこられるのだからな」

そう言うと汗唖は急に大矛を思いっきり、網嵐に振り下ろして一刀両断にしようとしたが軽々と避けて次は矛で汗唖を浅いが斬った。

汗唖「傷など久しぶりに負った。本当に殺しがいがある男だ」

一方で勝利を願う楽阿寒軍の本陣では楽阿寒が何も発せずに第1陣後方だけを見ていた。

楽阿寒「悪くて相討ちか…部下の勝利を願うのが良い上の人間だ。信じているぞ網嵐よ!」

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