屍人殲滅戦線 ― END LINE J ―

家ともてる

Episode 0 とある記者の手記

【調査結果報告書】


2111年7月1日

氏名:日無 章

役職:公安部 魔術特務課二係 捜査官


国立■■研究所にて、

■■記者の手記を発見したので一部抜粋し、以下に記す。


――――――――


2108年12月

アメリカ、イギリス、ロシア、南アフリカ、オーストラリア...そして日本。この6カ国に化け物が出現。人を襲い喰らう波が次々と街を飲み込んでいる。

日本では東京湾の港にて初めて化け物が確認された。首都が壊滅するのも時間の問題かもしれない。


化け物に噛まれた人も化け物になってしまうらしい。政府は彼らを屍人しびとと命名。



2109年2月

各国政府は早急な地域隔離が必要だと判断し、領土を分断する壁の建設を開始。

国際連合会議にて、必要な資材と費用を世界で統合し、壁の建設を行う方針となる。

こうしている間も屍人(化け物)の数は増え続けている。

私は神奈川に住んでいるが時間の問題か?


2109年3月

壁の建設が完了(恐ろしく早い)。

各国は近代兵器による屍人殲滅作戦を決行した。

しかし、身体を粉々にしても復活するらしく、屍人を殲滅することは叶わなかった。

このまま敗北を待つほか無いように思われる。


2109年12月

屍人が現れてから一年。

遠藤から聞いたところ、各国政府にある情報が入ったらしい。


"魔法で屍人を殺せる"


魔法ってなんだ?ファンタジーの世界じゃあるまいし。政府が信じることも無いだろう。


2110年1月

政府が何やら兵器を研究開発しているらしい。

埼玉の国立研究所にて、大量の兵器と光る石を載せたトラックが目撃されている。

政府はいったい何をしているんだ?


2110年3月

今度は研究所に人を運んでいる(囚人?)。

人体実験でもしているのか?

調べる必要がありそうだ。

テレビで屍人達が壁を破壊し始めたと言っている。

修復作業は間に合っているのだろうか。


2110年4月

日本政府が屍人殲滅部隊の編成を発表。

発表の次の日、国立研究所から大型トラックが何台も出ていった。

運んでいるものは不明。


2110年5月

ついに国立研究所の中に入る事が出来た。

見つかったら消されるかもしれない。


ほとんど物が無く、物抜けの空と言って良い状態だ。だが私は一つの冊子が引き出しの中に残されているのを見つけた。タイトルは...


「近代兵器と魔結晶の融合法の確立と人体増強剤の開発諸検討」


魔結晶?いつかの魔法と関係しているのか?

人体増強剤は囚人達に使う?


とにかく、これは大発見だ!政府が秘密裏にこんなことをしていたなんて!

早く記事を書きたい!


―――――――――――――


研究所内で発見した手記はここで止まっていた。

彼は今も行方不明である。

調査を継続する。


以上

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