第3話 不良女とメガネ女とロシア人女のドロドロのバトル(前編)

 俺は、見たいアニメがもうすぐ始まりそうなので、大急ぎで道路を全速力で走っていた。

 風を切るように、息切れをしながらも必死に間に合う為に、人の隙間くぐり抜け避けて颯爽と駆け巡る。



 大宮は、あれから漫画家になる夢を追っていて母親も、承諾して応援してるとか。

 大宮には、実は困ったところがあって俺との恋の話を描くと言ってきかないのだ。



 俺は、心の底から止めてほしいと告げたのだが聞く耳を持たず、未だに自慢気に例ものをだしてきて読まされるのだが、俺のことを美化してあってとてもじゃないが、どう見ても俺には見えないし胡散臭い作品になっていた。

 何か、背景キラキラしていたし。

 母親には止めて欲しかったが、絶対に反対することが出来ないので、ニコニコ笑っているだけの人形のように何も発することが出来なくなり娘のことを全肯定しているために、最近ワガママクソガキと化していて達が悪い。



 ツイこの間も、一緒に帰ろうとして校門でずっと三十分くらい待っていて、クリスとは会って早々ケンカになり、女の独特な嫌みを連発し手が付けられない恋愛脳になっているため。


「クリスさ~ん、もう一人で帰っていいですよ~。高井くんは、私が責任持って時間には自宅へ送り届けるので、安心して一人で軍人ごっこでも家でしててください」


「ナンダト! ダレガゴッコダ! ワタシハ、モトモトグンジンダ! ソレニ、レンマはワタシノダイジナアイボウダ! オマエニハ、ワタサン! レンマ! コンナ、コドモホッテオイテ、イエデクンレンスルゾ!」


「誰が、子供よ!! 中二病みたいなことをしている人には言われたくない!」


 クリスと、いがみ合う大宮の姿はまるで恋敵でも見るかのように、俺に腕を組み胸を押し付けたりしてイチャついてきて鬱陶しかった。

 クリスは、そんな大宮を見てヤキモチを焼いていたのか、空いてる方の俺の腕を自分の腕で組み片言で怒鳴り、大宮は動じずに譲らずお互いに引っ張り合いになる。


「ハナセ! コドモニハ、マダオトナノレンアイハハヤイゾ!」


「子供じゃないって、言ってるでしょうが! それに、あなたのやってることの方が子供っぽいですから!」


 俺は、滅茶苦茶綱引きのように手を引かれて関節外れそうなくらい痛かったので、それを大声で止めろと痛いわと言いどうにか離してもらって、その時は事なきを得たがまだ思い出して少し体が、痛みをフィードバックしてしまい気分が悪い。

 まだ、脇が鳴って痛むし。



 俺は、とりあえず家の近道をしようと路地裏を通ろうとするものの、そこで出くわしたのは金髪でヘソだしの胸元を開けていて、半ズボンを履いてるポニーテールのまつ毛バシバシの如何にも、ハデな女の子と不良のロン毛男とモヒカンと言った、時代遅れの二人が金髪の女の子をガン見しながら、イヤらしい目線をしていた。


「ちょっと! ねぇちゃん! イケてるね~」


「俺らと、一緒に夜まで遊ぼうよ~」


 俺は、無視して横から忍び足でダッシュして通りすぎようとすると、金髪の女の子は男二人を鋭い眼光で睨み付け、怒号と共に罵声を浴びせる。


「ああん!? お前らみたいな、クソみたいなファッションしたバカなんて、相手しないわ!! 猿みたいに、盛る程度の知能しかないんだから、エテコウパークのオリにでも入って盛ってろ!」


「うんだと! クソアマ!!」


 不良の一人の、モヒカンが彼女の胸ぐら掴み殴ろうとする、もう一人はずっとそれを見ている。

 俺は、女の子にケガをさせたら母さんにまた、ブチキレられるし妹にも暴言を吐かれるので、仕方なくモヒカンの腕を掴み止める。


「なんだ!? 離せ!」


「断る……」


 モヒカン男とロン毛男が、一斉に俺の方へと標的を変え腕を構えて襲ってきた。

 俺は、右手でそれを反らして腕を握り反対方向に曲げるとモヒカンは、悲鳴を上げながら痛がっていた。


「いててて!!」


「たく! だらしねぇな!! お前は! 俺がコイツをぶっ飛ばしてやるよ! 死ね!!」


 俺に、ロン毛男が腕を振り下ろして脇ばらにパンチしようとしたので、しゃがんで下に避けて思いっきり腹に正拳突きを食らわしたら、ぶっ飛んでビルの壁に叩きつけられた。



 その後、暫くして「ひぃ~! 助けてぇ~!」と言いながら走って逃げて行った。

 俺の姿を見て、金髪の女の子はキラキラと宝石のような輝く眼差しを向けて、自分の名前を言い名前を聞いてきた。


「私……立花乙女たちばなおとめっていうの! あなたの名前は?」


「俺の名前は、高井練磨。それより、急いでるのでもう行くね!」


「待って! 私を守ってくれた、王子様~!」


 俺は、何が王子様だよと思ってしまった。

 立花は、どう考えてもそういうキャラじゃないし、不良が言うと余計に弄ってきたようにしか聞こえない。

 明らかに、バカにしてる……そう思う他ないと感じて俺は、走ってその場を去る。



 翌日になり、学校へクリスと一緒に登校して教室に入ると目の前に、突然立花が立っていて腕組みをして、堂々とする姿はまさに強者の出で立ちってところだ。


「あの~……誰だっけ?」


 立花は、俺のとぼけた態度に眉間にシワを寄せて、ご立腹という感じで今にも掴みかかってきて殴ってきそう。

 

「はあ~!? 何が、誰だっけ? だ!! とぼけるんじゃない!!」


 立花は、やはり俺のやる気のない適当な対応が気に食わなかったようで、ずっと鋭い眼光で見続ける。

 俺も、別にこんなことをしたいとは思ってないが、立花がこの学校一の不良でヤバいことをしていると、噂になっていた為にこういう風に誤魔化して避けるしかない。

 特に、危ないと言われてるのが売春を斡旋している組織と関係があるとか、犯罪者集団と仲間とか言われたら、誰だって関わりは持ちたくないだろ。

 この学校が、底辺高校だから当たり前なのだが、何とかそれは避けなければならない。

 面倒事はこれ以上ゴメンだからな。


「ちょっと……放課後に、屋上までこい」


 立花は、そう言って椅子に座りこの日は大人しく授業を受けいた。

 先生達も、珍しいと思って驚いていたが立花の「なに?」が怖かったのか触れないようにしていた。



 俺は、立花に後で何をされるのか分からなかったから、放課後屋上へとクリスと一緒にやってきていた。

 一応、クリスが要るから安全ではあるが相手がヤバい系の不良なので、警戒しなければと思いクリスに襲われそうになったら銃を向けていいと許可はしてある。

 あまり気乗りしないが。



 漸く、立花がやってきていたが前の時のような、表情はしてなく頬が赤く染めていて、体を震わせて俺の顔を見るや目を反らしたり、不良の女が取る行動ではない。


「あの……いい?」


「……いいけど」


 俺は、身体中に緊張が走り殺されるかと考えて、クリスに合図を送り銃口を立花に向けてもらう。


「私! 高井の事が好きなの! だから、付き合って!!」


 俺は、キョトンとしてその場を立ち尽くした。

 クリスも、状況が信じられないのかマカロフを落として、口を開けてしかめっ面をしている。


「はあ? 何で、立花が俺に告白するんだ?」


「好きだからに、決まってるじゃない……」


「どう考えても、分からんのだが」


 立花が、まさか俺に本気で惚れてるのかと思わないし、不良独特のからかいだと予想するだろうと。


「いやいやいやいや! 冗談だよね?」


「本気に決まってるだろ!! ふざけてるとぶち殺すぞ!!」


 立花は、怒り狂いまた獲物を狙う目のような殺意をこちらに向けてきた。


「ムリだな……」


「……え?」


 立花が、俺の告白の答えに不思議そうに口を開けて、予想だにしてなかったのか現実を理解出来ない様子。


「何で!! 何でよ!!」


「それは……俺と、お前では住む世界が違い過ぎるからだ……」


「そんなの、関係ないじゃない!!」


「関係あるんだよ! 俺は、そういうやからは嫌いだ!!」


 立花は、そんな俺の言葉を聞くと涙を流して必死に付き合いたいと懇願する。


「なんで……うぅ……なんで! 私が不良だから!?」


「違う!」


「私が、悪いことをしていると噂だから!?」


「違う!!」


「だったら……何でなのよ!!!」


 立花の怒号が、屋上に響き渡り緊迫した空気が流れていても、俺は全く動じることなかった。

 立花に、俺はあの飛行機の事件での出来事を話して、自分があの時出くわした酷い光景とその時起きたことを話した。


「恋愛なんて、しょうもないだけだ……俺が、飛行機墜落して遭難した時なんてカップルが飢え死にしそうになって。お互いに、食料の奪いあいになって争って死んだからな……」


「そんな……」


 立花は、その場で膝を着き愕然としてうつむいていた、泣いてはいたものの気力がなく呆然としいた。


「所詮……俺と立花は、住む世界が違う! それに、お前は厄介な不良だからどのみち付き合うつもりはない」


 立花は、俺の思いの丈を聞いて納得したようで重い足を上げながら、屋上から出ていた。



 家へと帰った、俺はその事を母親に告げたが滅茶苦茶怒られた後、二、三発ビンタを顔にくらいほっぺたが赤く腫れ上がる。


「あんたはぁぁ!! 何で、女の子にそんなことを言ったのよ!」


「しょうがないだろ……実際、俺の気持ちはそうなんだから」


 母親は、涙を流して俺の胸ぐらを掴みまたビンタをお見舞いするのかと思ったが、寸前のところで止めて立花の生い立ちを話し始める。


「あの子はね……友達を守ろうとして不良になったのよ……それに、家庭は有名な企業のお金持ちだけど冷たいと噂だわ……一人で毎日、食事を取ってるの……そんな、可哀想な女の子を傷付けたのよ! あんたって子は、最低な行いをしたのよ! 分かる!?」


 俺は、クリスを連れて母親に大体立花が居そうな場所を教えてもらい、ドアを開けて立花の元へと向かう為に道路を走り抜ける。


「オイ、レンマ! ドコニムカウンダ?」


「決まってるだろ! 立花のところだよ!!」


 クリスは、不思議そうに首を傾げていたが俺は、やっと立花を理解出来たと、母親の女の子を大切にしなければならないという発言が、大事なことだと思い立花のところへ行く。

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