元ロシア軍人に勤めていた幼馴染みの同年代の女子が問題ごとを起こすのでとても辛い

黒金 影輝

第1話 俺の幼馴染みは美少女だが狂暴すぎて手がつけられない

 俺は、教室の机にうつ伏せになり今日も窓から入ってくる、そよ風を感じながら気持ち良さそう昼休憩に突っ伏して寝てのだが……

 入り口のドアが開き、突然俺の穏やかな学生生活は早くも終わりを告げる。



 俺は飛び起きて、ドア側の方を見てみてると金髪の美少女が入ってきて、同級生の男子の後ろの襟を左手で持って引きずっている、尚且つ右手には彼女のお気に入りの銃、マカロフを握り下に銃口を下げていたものの、ひとつ間違えば誤射して誰かに当たって大怪我じゃすまない。



 彼女は、何事もないかのような真顔をして俺の元へと近付いてくる。

 俺は、とてつもなく嫌な予感がして背中がゾワゾワしたが、一応何があったのか聞いてみた。


「どうした……クリス……」


「キイテクレ! レンマ!」


 彼女は、カタコトの日本語を喋っていたが無理もない、クリスことクリスチーナ・イワノフはロシア人で元軍人のエキスパートで、戦場のみでしか生きられなかった女なのだから。

 クリスは、それだけじゃなくて日本自体来たのがここ一年ぐらいにしかならないので、とてもじゃないがまともな言葉を話すのは苦手なようだ。



 俺、高井練磨たかいれんまはそんなクリスの知り合いで母方のひいじいさんがロシア人なだけの、普通の男子高校生なのだが。

 何故か、クリスが俺の後を着けてきてしつこい。


「コイツガ! ワタシノ、コトヲウシロカラネラッテイタノダ! ダカラ、ワタシハウシロ二マワリ……シュトウヲクラワセテネムラセタ」


 クリスは、鼻息を荒くして自慢気に腰に両手を当てて嬉しそうに微笑む。

 何が、そんなに良いのか楽しかったのかは全く分からないが、とりあえずクリスの後ろに立つのはやめよう。

 多分、立った瞬間俺は銃で打たれて人生がジエンドになってしまう。

 


 5分くらい経ち、クリスに眠らされた男が目を覚まし、怯えながら呆然と立ち尽くしたと思ったらギャーと叫び、告白しただけなのにと言い逃げるように去っていった。

 可哀想な男だ、クリスじゃなければ悪くても振られるだけで、こんなトラウマになるようなことをされなくてすんだなのに……いたたまれない。

 本当に、クリスと会ってからろくなことが起きない。



 出会ったのは、10年くらい前の暑い時に飛行機ジャックに巻き込まれ、更に森へと転落して俺とクリスと男女のカップル四人だけ無事で、後は全員落下の衝撃で血を流しながら死んでいたっけ。

 クリスは、急いで涙を流しながら両親の元へと駆け寄ったが、地面に横たわり目を閉じていてとてもじゃないが生きてはいなかった。

 俺は、両親の死体を見て泣きじゃくり膝を地面につけるクリスを見捨てられなくて抱き寄せて、俺が君を絶対に助けると言い約束していた。

 通じてるかどうかは、その当時分からなかったがそうする他なかったから。



 どうにか、サバイバル術書いてる本を航空機の荷物置き場からバックを取り出して、読んで試行錯誤してクリスと一緒に一年間生き延び、

ボロボロに服装になりながらナイフで、ひきり棒を作り落ち葉や枝などをかき集めて、火種にして火を起こして狼煙を上げて、漸くヘリに見付けてもらい俺のひいじいさんに中に入れて貰い。

 俺とクリスは、目的地の場所へと着いたものの元軍人のひいじいさんが、クリスを訓練する次いでに俺まで格闘技を四年間やらされた。

 しかも、システマだけじゃなくロシアには関係ない、柔術や空手などもやらされて一応学校とかは行けたが、毎日格闘技三昧でとてもじゃないがまともな生活は送れてなかった。



 俺は、開いているドアの方を見ながら思い出にふけていた。

 クリスは、俺に今日の夕御飯は何かを聞いてくる。


「オイ! キョウノ、ユウハンハナンダ?」


「お前! さっき、昼飯食ったばかりだろ! もう、夕食の話かよ!!」


 俺は、クリスの食い意地がはった言動に突っ込みをいれるが、頭の中が食い物でいっぱいなクリスには全く届かなかった。

 クリスは、ヨダレをタラタラと垂らして地面に落ちるくらい流していて、コイツにはそれしかないのかと呆れかえる。


「それより……いい加減、銃をしまえ。お前、そんなもん持ってたら捕まるぞ」


 クリスは、俺の言われるがまま銃をホルダーにしまうが、何故かスカートの横の部分をまくり上げて、そこにホルダーを装着していて今にもパンツが見えそう。 

 お前どんなところに、付けてるんだよと激しく問いただしたい。



 学校の授業が終わり、俺とクリスは家へと帰宅するが一緒にドアを開けてただいまと言う。 

 可笑しなことをクリスがしているのではなく、クリスも一緒にわけあって住んでいる。

 唯一のクリスの肉親、ひいじいさんのボリス・イワノフが一年前に、頼むと言う手紙だけを寄越して地図を見てやって来たのだが、その時は身体中泥だらけでみすぼらしいので、結局シャワーを貸して浴びさせたがそれ以降、ボリスじいさんがやってくることなく現在に至る。



 数時間経った後、妹高井美心たかいみこが帰ってきた。

 髪は、ツインテールで色は真っ赤で瞳は赤く俺とは似ていない、二重まぶたの美少女と言う感じだ。

 

「はぁ~、兄貴帰ってきたのか……本当に、相変わらず冴えない顔してるわね」


「うるさい! お兄ちゃんお帰りだろ!!」


「キモ!! はあ!? そんなこと、兄貴に言うはずないでしょ!?」


 妹は、毎回このように俺の顔を見るやこういうことを言うが、実はツンデレだとは俺は分かっている。

 夜中にトイレで、起きてきたとき部屋を覗いたらお兄ちゃん大好きとか、言っていたからな。

 


 俺にとっては、妹が暴言を吐いてくることは大して問題じゃない、クリスとそりが合わないのか会えばケンカを始めるそれこそが厄介。

 目を合わせただけで、重い空気が流れて険悪ムードが出来るのでなるべくそうならないように、俺が努力しているがそうもいかないのが現実というやつだ。


「何よ? あんた、そんなことして恥ずかしくないの? 何で、毎回銃持ってるのよ! 女の子だったら、もうちょっとおしとやかにしたら? クスクスクス」


「ナンダ! オマエコソ、コドモダッタラ。スナオニオトナノイウコトキケヨ!」


「何よ!! 体ばかり、大人で頭はサバゲーやってるオタクみたいな中二病のくせして!」


「ダレガ、サバゲーオタクダ! ワタシハ、ホンモノノグンジンダ! ナメルト、ケガデスマナイゾ!」


 クリスと妹は、お互い火花が散るくらいにらみ合い一歩も引かない、それどころか頬っぺたを両手で引っ張り言い合っていた。



 口喧嘩をし始めて、親が帰ってきて母親にやめなさいと叱られて、夕食を妹以外食べ終えて俺がソファーに座ってスマホを操作していると、妹が何故クリスを受け入れて住まわせてるのか疑問で、母親に不思議そうにため息をつきながら聞く。


「はぁ……何で……モグモグ……お母さんは、あんなイカれロシアミリタリーオタク……モグモグ……住まわせてるの?」


「まあ、最初は戸惑ったわよ。でも、私はあの子はあなた達にとって大切な人になると思ったの……それに、どうしても助けたいと懇願してきたのはお兄ちゃんだけどね! あの時は、びっくりしたわ。まさか、練磨がそう言うなんて」


「け! バカ兄貴が……全く、何を考えてるだか」


 妹は、その一言を俺に吐き捨てご馳走さまと母親にいい、二階の階段を上り自分の部屋に向かっていく。

 妹は俺に対してそんなことしか言えんのか、親には素直に従うくせに。



 俺は、自室のベッドに座り妹がやってきたことを振り返る。

 妹と初対面は、あんなツンデレキャラじゃなかったし、俺に兄貴だのバカだのと酷い言葉は浴びせてこなかった。 

 むしろ、小さい頃はお兄ちゃん大好きだと言ってきたり抱き付いてきたりして困っていたから。

 妹は実は本当の血の繋がった、兄妹じゃないけど俺は今まで暴言を吐いたり暴力は一切やってないのに、どうしてこうなるのか疑問しか浮かばない。

 それに、クリスと同じで両親が亡くなっていて引き取られたから、境遇的に気が合いそうなのにあそこまでいがみ合うことはないだろうと。



 俺の毎日は、こんなドタバタしていてトラブルが付き物で、疲れるので辛いが退屈はしない。

 寝転がり、俺は今日も色々あったな~自分を励ますが、なんとなく嫌ではなかったのが不思議で仕方がない。

 俺にとって、こんな日常も悪くないと思い満足して就寝した。

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