ゼロからはじまる異世界冒険記。
行記(yuki)
#001 私のステータス、低すぎぃ~
「……うぉ!!!!」
浅い眠りの時、とつぜんガクンっとなるの、ホントなに??
「え? どこ、ここ。つか、全裸じゃん、俺ッ!!」
目の前に広がる大自然。森と言うべきか、林と言うべきかは微妙なところだが…………とにかく人工物が見当たらない。
「まだ夢の続きなの…………ガッ!? ッ~うう」
もう少し視界の開けた場所を探そうと歩をすすめたら、何かが足に絡んで見事に転んだ。
――――スライムを倒しました。獲得経験値10をステータスポイントに変換します――――
「え? なに??」
とつぜん響く声、というかメッセージ? 声として耳から入ってきたというより、脳内に情報だけ送られた感じだ。
「もしや…………<
・
体 力 :0
魔 力 :0
筋 力 :0
防御力:0
理 力 :0
精 神 :0
敏 捷 :0
技 能 :0
ステータスポイント:10
「うわぁ~、私のステータス、低すぎぃ~」
半分ネタで放った<情報参照>が発動したのはいいものの、はじめて見るってくらいに数値が終わっていた。
「いや、体力がゼロっておかしいだろ! ん? まてよ……」
べつに、体が重くて動かないとかは無い。いたって健康というか、普通だ。もしかしたらこの状態が初期値としてゼロが割り当てられているのかもしれない。
「はぁ~~。ひとまず、このワイセツ物陳列罪の現行犯状態を、なんとかするか」
自分で言うのもなんだが、俺はけっこう楽天的で短絡的な性格だ。まったく考えない訳でもないのだが『まだピースが足りていない』と思ったら、無駄に考えを巡らせてその場で足踏みするより、ひとまず前進するようにしている。
「武器は…………"これ"でいいか」
ほどよく尖った石を拾い上げ、その辺の草を刈り取っていく。
「……行動では、経験値、貰えない系か?」
ファンタジー小説なら何をするにも経験値が入り、スキルがどんどん増えていくイメージだが、そういうのは無いようだ。
「まぁいいや。ひとまずこれだけあれば、腰ミノくらいつくれるだろう」
おぼろげな記憶を頼りに、集めた草を束ねて紐を作る。蔓草でもあればよかったのだが、無いものはしょうがない。
「ん~~。上手く、いかないな」
何がいけないのか、束ねた草は、すぐに解けてしまった。
「そういえば!」
ステータスには理力や技能があった。ゲーム脳的に理力は魔法攻撃力っぽいが、もしかしたら解析や探索など、適応範囲の広いステータスなのかもしれない。
現在、割り振り可能なステータスポイントは10。1番確実なのは技能上げだが、いくら器用になったところで、そもそも俺は縄の作り方を知らない。最悪、貴重なポイントを無駄にする可能性もある。
「ヤメだ! 蔓草か、さっきのスライムでも探そう」
考えて分かるものなら考えるが、こんなもの、結局トライアンドエラーで解決するしかない。それならまずは、勝負できるだけの
「ん? ……なにか、聞こえたな」
遠すぎて判断に困るが、何やら人工的な音が聞こえた。考えてみれば周囲に人工物が無いからと言って、文明そのものが無いとは限らない。
こうして俺は、ひとまず周囲を探索しつつ、音がした方へと向かう。
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