第7話 ダンジョンの裏事情
美春さんと由香里との温泉コラボを終えて、自分のダンジョンに戻ってきた。
現在のダンジョンの状況を確認するために、ステータスを確認する。
渋谷ダンジョン Lv3
最深部 2階層
所属魔物:スライム、シルクワーム、レッサーウルフ、シルバーフォックス
産出資源:鉄、銅
DP 1578
SP 0
ダンジョン特性
複数召喚
魔物自動配置
「DPがだいぶやばいな」
ここまでDPが無くなってしまったのは理由がある
実はアルマのダンジョン内に旅館を建てるためにDPの大半を貸し出していた。
DPを貸し出すことになった経緯はアルマが泣きついてきた時にまでさかのぼる。
数日前のアルマダンジョン
アルマに泣きつかれた後、アルマの配信機材があるダンジョンの最奥でダンジョンを立て直す作戦を話し合っていた
「それでどうすればいいの?」
「そうだな・・・まずはアルマのダンジョンの問題点は何だと思う?」
「魔物がいない?それともダンジョンば小さすぎること?」
「それもあるけど何より利便性が悪すぎることだよ」
「この辺りは泊まるところも無いし、バスも一本しか通ってない」
「そんな状態じゃよほど美味しいダンジョンじゃない限り探索者は来ないんじゃないかな」
「そこでこのダンジョンを改造しようかと思うよ」
「改造?」
アルマは不思議そうな顔をしている。
その後ダンジョンを改造するために、アルマダンジョンの情報を共有してもらった
アルマダンジョン Lv1
最深部 3階層(2階層封鎖中)
所属魔物:スライム
産出資源:鉛、鉄、銅
DP 279
SP 0
ダンジョン特性
なし
「このダンジョンって3階層もあるのか?」
「最初からあったわよ?維持コストが高いから封鎖してるけど」
うらやましいなこのダンジョン・・・
それからアルマのダンジョンを立て直すために、まずは階層の属性を変化させることにした。
属性を変化させるメリットは複数存在していて自然属性の魔物の動きを活性化させたり、草木を利用してトラップも仕掛けられる。
だが今回の主な目的は観光のためである。
以前からダンジョンの観光化の構想はあったが、なかなか実現させるのは難しかった。
僕のダンジョンはすでに探索者専用になってしまっていて、トラップや聖遺物をすでに配置してしまっている。
これらを解除して、1階層を観光利用するためにはかなり時間がかかるのだ。
そこでダンジョン内が手つかずの状態で残っているアルマのダンジョンの方が、何の弊害も無く自由に改造することができる。
「とりあえずダンジョンを改装するためにDPを貸し出すよ」
「本当?いやぁ助かるわ!」
その後僕のDPのほとんどを使用することで、今のような旅館を作り上げることが出来たのである。
「アルマダンジョンみたいに僕も1階層を改良しないとな」
DPが少ない理由は他にもある。
それは一日に稼げるDPがそろそろ頭打ちになってきたのである。
連日たくさんの探索者が訪れるだけあって、維持に必要なDPは十分に稼げている。
だが今後ダンジョンを成長させていくには、さらにDPを稼いでいく必要があるだろう。
今のままではどれだけ探索者が訪れても、2階層しかないダンジョンでは稼げるDPにどうしても限界があるのだ。
ここで3階層を追加する案もあるが、魔物が少ない現状でこれ以上階層を増やしてもあまり意味はない。
魔物を増やそうにも大量のDPが必要だ。
となるとDPをあまり使わないで、DPを稼げるような案を考える必要がある。
そこでアルマのダンジョンのように探索者ではない一般の人たちもダンジョンを利用できるようになれば、さらにDPを稼げるのではないかという結論に至った。
アルマダンジョンのように宿泊施設を建てる案もあるが、それは使えないだろう。
アルマダンジョンは利便性の悪さもあって周りには宿泊施設が存在していない。
だからこそ旅館を建てるメリットが大きかった。
だが僕のダンジョンは都心のど真ん中に存在している。
当然探索者向けの宿泊施設もダンジョンの周りに存在しているため、わざわざダンジョン内の旅館に泊まる必要はないだろう。
よってこの案は却下だ。
そうなるとダンジョンだからこそ体験できる要素で売り出すしかない。
「あ!そうだ!魔物を使えばいいのか!」
ダンジョンマスターだからこそ使える方法。
それはダンジョンの魔物に人間への敵意を消して、誰でも魔物と触れ合える環境を作ることだ。
それから数日が経過し、ダンジョンを改良するためのDPを貯め終えた。
といっても今回使用するDPはたったの1000DPほど、ダンジョンの入り口付近を改造して探索者向けの戦闘エリアと一般客向けの観光エリアを分ける壁を作っただけだ。
そして配信でもそのことを視聴者に伝えると、配信を終えた翌日から一般の人が長蛇の列をなして並んでいた。
「うわぁ・・・すごい大盛況だな」
やはりダンジョンの魔物に興味を持つ人はとても多い。
探索者は誰にでもなれるが、何年も続けられる人は3割にも満たないそうだ。
昔よりも装備が充実していて、新人向けに探索がある程度マニュアル化されているとはいえ、命を懸けた戦いを何度も出来る人はそう多くはない。
でも僕のダンジョンであれば気楽に魔物と接することが出来るのだ。
今回一般の人向けに考えたテーマは魔物と触れ合うことを第一に、希望者がいれば軽い戦闘体験も行えるようにすることだ。
一般の人の中には日常生活で使うことのない攻撃スキルを持て余している人も多い。
だがこのダンジョンであれば安全に攻撃スキルを使用し、日ごろのストレスを発散することもできるのだ
戦闘方法は安全性を担保するために、探索者エリアの魔物に向かって壁の外側から射的をするような形をとっている。
ちなみに魔物の素材に関しては僕が壁の向こうの探索者から安値で買い取って探索者協会にそのまま売るようにしている。
当初の見立て通りお客さんのほとんどは探索者ではなく一般の人がばかりであった。中にはスーツを着た仕事帰りのサラリーマンや、子連れの主婦も来ている。
他にも施設の利用を無料にしたことも大きいだろう。
「子ども人気が高いのはシルバーフォックスか・・・」
そして魔物のふれあい広場を訪れるとたくさんの子供たちでにぎわっていた。
子どもたちの親も地上では体験できない魔物とのふれあいにとても興奮している様子だ。
「ひとまず大成功かな」
今回のことでDPを大幅に稼げるようになった。
やはり攻撃魔法はDPの回収効率が格段に違っている。
一般の人は探索者と違って、スキルを出し惜しみする必要も無いのだ。
昨日なんて一日で3000DPも稼げてしまった。
さらに自動的にお金が入ってくるようになったことで、銀行口座の収入がとんでもないことになっている。
うれしい気持ちがある反面、来年の確定申告には気を付けようと心に誓った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます