ダンジョン運営は地獄です~TS幼女は最高のダンジョンを目指して奮闘する~

りくりく

第1章 ダンジョン運営の始まり

第1話 最初からクライマックス!?

現代にダンジョンが現れて早500年の月日が流れた。

ダンジョンには探索者と呼ばれる人々が足しげなく通いつめ、中から様々な資源を得て生活している。

上位の探索者ともなれば年収数億は軽く超えており、探索者は夢のある職業だと言われている。


そんな探索者に憧れて僕こと桜田さくらだ晴彦はるひこは一人でダンジョンに潜っている。


「まて!」


僕は逃げまどうゴブリンを全力で追いかけていた。

すでに10分以上走り続けており、そろそろ体力も付きかけてきている。


するとゴブリンは道端の石ころにつまづき、地面に倒れこんでしまった。

僕はすかさずゴブリンの頭に目掛けて剣を振り下ろしゴブリンの頭を砕いた。

するとゴブリンは鳴き声を上げて死んでしまった。


「やった、初めて倒せた・・・」


実は数か月前にもゴブリンと戦ったことがある。

その時はボコボコにやられて、泣きながら逃げ帰った。

ようやく因縁の相手に勝利できたことで、いつもより前向きな気持ちになる。


「ステータス」


僕がそう言うと、目の前に僕の能力値が書かれた画面が表示された。


桜田さくらだ晴彦はるひこ

性別:男

Lv3

種族:人間


HP 10/20

MP 0/15

スキル:なし

称号:スライムスレイヤー

   ゴブリン討伐者


「よし!ちゃんとゴブリン討伐者の称号が取れてる!」


探索者にはランクが存在しておりランクはS~Gに分かれている。


僕は最弱のGランクであり、1年以上このランクのまま戦ってきた。


その理由は単純で、スキルを一切覚えていないからである。

おかげで誰ともパーティーを組めず、仕方なくソロでダンジョンを探索していた。


だが今回のゴブリン討伐者の称号があればFランクに昇格し、ようやく探索者として認められる。


散々走り回ったせいで体力も限界が来ている。

一度退散しようとした時、遠くから探索者の叫び声が聞こえた。


「逃げろ!オーガだ!」


探索者の後ろには人間の数倍はある体格をした赤色のオーガがいた。

探索者の人数は三人で、先ほど叫び声をあげていた男性が負傷した仲間を背負って走っている。

すぐ後ろには僕と同年代位の女の子が走っていた。


ダンジョンイレギュラー

昔から一定周期でダンジョンの下層から魔物が這い上がってくる現象でその原因はいまだに解明されていない。


数年前にはドラゴンが現れて、Sランクの探索者が現れるまでに数十人が犠牲になったそうだ。


「まずい、早く逃げないと」


僕が急いで入り口のある方角へ走ろうとすると、後ろから女の子が叫ぶ声が聞こえた。

振り返るとさっきの女の子が地面に座り込んでいる。

どうやら何かに躓いたことで転んでしまったらしい。

その影響で足を怪我してしまい、その場から動けなくなっていた。


「助けて・・・」

「すまない・・・」


女の子の先頭を走っていた男は、女の子を見捨てて走り去ってしまった。


「ひい・・・」


やがてオーガは女の子の元へたどり着き、手に持っていた大きな棍棒を振り下ろした。

だがオーガの棍棒は空振りに終わってしまう。気が付くと僕は女の子を突き飛ばしていた。


どうやら体が勝手に動いていたらしい。

僕はすかさず女の子に向かって叫んだ。


「早く逃げて!」


「は!はい!」


これが物語の主人公なら、オーガを倒して無事にハッピーエンドで終わるだろう。

だが生憎この場にはスキルなしの最弱冒険者しかいない。


僕は必死にオーガの攻撃を避け続けた。

幸いオーガは体格が大きい割にスピードが遅く、僕でもギリギリ攻撃を避けることが出来る。


「これでもくらえ!」


僕はオーガの視界を奪うために腰に常備していた閃光弾を投げた。


「ぐおぉ!」


その瞬間ダンジョン内に目も明けられないほどまぶしい光が放出される。

するとオーガは目を抑えながら動けなくなっていた。


「いまだ!」


僕は手に持っていた剣を思いっきりオーガの首に突き刺した。


「ぐがぁぁぁ」


「よし!このまま!」


後は入り口に向かって逃げるだけである。

僕は急いでその場から走り出すと、ふとお腹に違和感を感じた。


「え?」


下を見ると巨大な氷の塊がお腹を貫いている。

どうやらオーガがあたり一帯に向かって魔法を放ったらしい。

先ほどの攻撃が致命傷となりオーガはそのまま死んでしまった。

すると目の前に怪しげな男がゲラゲラと笑いながら現れた。


「だれ・・・」


「いやぁまじか!まさかオーガに奥の手を使わせるとはな!」


「それもよく見たらスキルなしかよ、すげぇな!」


男はフードを被っており、何者なのか判別が付かない。

それでもこの男が人間でないことは分かる。

すると男は僕に近づきある提案を持ち掛けてきた。


「さて勇敢なお前さんに二つの選択肢をやろう」


「ダンジョンマスターになるか、このまま死ぬかだ」


この男は何を言っているのだろう。

ダンジョンマスターという存在は聞いたことが無い。

だがこのまま死ぬわけにはいかない、幼い頃からの目標を達成するまでは。


「ダンジョンマスターになるよ・・・」


きっと僕に選択権なんてなかったのだろう。

男は僕がこの選択をすることを見透かしていたように返事を返した。


「ようこそ、


男の声を最後に僕は意識を失った。





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