弟の彼女が男の子はナイでしょ!

暴走機関車ここな丸

第1話「女子じゃナイでしょ!」パート1

[熊田 奏太]

 「紹介するよ姉さん、彼女が僕の恋人の……」




 私の名前は熊田くまだ 奏美かなみ



 私には、熊田くまだ 奏太そうたと言う2つ年下の弟がいる。




[猫姫 ひなた]

 「猫姫ねこひめ ひなた でーす!」



[熊田 奏美]

 「は、初めまして?」




 弟の彼女、猫姫ひなたちゃんは凄く可愛かった。



 うちの奏太も結構イケメンだと思うが、ここまでの美少女が自分の弟の彼女だなんて、なんて誇らしいのだろう。




[熊田 奏太]

 「ははっ、姉さんもひなたのこと可愛がってやってくれると嬉しいな」



[猫姫 ひなた]

 「えへへっ、よろしくお願いしまーす!」



[熊田 奏美]

 「うふふ。 よろしくね、ひなたちゃん」




 ひなたちゃん、愛想が良くて良い子っぽそうじゃん?



 この子となら、私も上手くやってけそう!




[熊田 奏美]

 「外雨だったから濡れたね……」




 見ると、奏太もひなたちゃんも派手に雨水を被った様だった。



 こんな大雨の中わざわざ挨拶しに来てくれたなんて、なんか申し訳無いな……。




[熊田 奏美]

 「奏太! なんでこんな雨の日に連れて来るのー? 大切な恋人が風邪でもひいたらどうすんのよ?」



[熊田 奏太]

 「あ、あ、えっとー……」



[猫姫 ひなた]

 「ごめんなさい! 私の都合空いてる日が今日しか無くて……なるべく早く、熊田くんの御家族に会ってみたくて……!」




 そう言う事だったの……。




[熊田 奏美]

 「あ! なんかごめんね! ひなたちゃんに怒ってる訳じゃないから、気にしないでね」



[猫姫 ひなた]

 「はい、すみません!」




 奏太はひなたちゃんの隣で何も言わずに、少々気まずそうに微笑んでいる。




[熊田 奏美]

 「あ、ひなたちゃんさえ良ければなんだけど……うちでお風呂入ってってよ、着替えも私が貸すし」



[猫姫 ひなた]

 「え! そんな、悪いですよ〜」




 ひなたちゃん遠慮してるけど……でも濡れた服で女の子を帰す訳にも行かないし……。




[熊田 奏太]

 「大丈夫だよひなた、姉さんもこう言ってる事だし」



[猫姫 ひなた]

 「でも〜」



[熊田 奏美]

 「遠慮しないでひなたちゃん! 姉として私がしてあげたいだけだから!」




 私がそう言うと、ひなたちゃんは時計を見る素振りをして数秒何か考え込んだ様に見えた。




[熊田 奏美]

 「……?」



[猫姫 ひなた]

 「うーん、じゃあお言葉に甘えて♡」




 どうやらひなたちゃんは、うちでお風呂に入っていく事を決断したようだ。




[熊田 奏太]

 「じゃ、僕は……」






 プルルッ♪ プルルッ♪






 奏太がソファから立ち上がろうとしたその時、奏太のケータイから着信音が鳴り響いた。




[熊田 奏太]

 「あ、ごめん、ちょっと出て来るねー」




 奏太は電話に出る為リビングを後にして行った。




[猫姫 ひなた]

 「そわそわ……」



[熊田 奏美]

 「じゃあお風呂の場所に案内するね」



[猫姫 ひなた]

 「あ、は〜い!」




 私はその後すぐ、ひなたちゃんにお風呂に入ってもらった。






──1時間後。






[熊田 奏美]

 (ひなたちゃん、お風呂長いな……ま、女の子ってこんなもんか)




 私は大体20分ぐらいで出るけど、世の中には2、3時間ずっと入ってるって人もいるらしいしねー。



 それから更に30分が経ち……。




[熊田 奏美]

 「大丈夫かな、ひなたちゃん……」




 私は2階に上がり、まずは奏太の部屋に様子を見に行く。



 ノックをする前に、私は奏太の部屋のドアに耳をあて、中から聞こえてくる音に耳を澄ます。




[熊田 奏太]

 『うん、うん……だよね』




 聞けば奏太もまだ誰かと電話をしている。



 あんまり盗み聞きするのも悪いと思い、私は奏太の部屋から離れ、1階へと戻った。




[熊田 奏美]

 「ひなたちゃーん! ごめんねー、ちょっと入るねー」




 私はひなたちゃんに着せる着替えを持ってお風呂場のドアを開けて脱衣場まで入る。




[熊田 奏美]

 「ひなたちゃん?」



[猫姫 ひなた]

 「あ! ごめんなさい! もうすぐ出ます!」




 中からはシャワーの音と、ひなたちゃんの声と影が見えた。




[熊田 奏美]

 「あ、いーのいーの、ゆっくりで」




 その時、私は何か足で踏んだ。




[熊田 奏美]

 「……?」




 私は自分の足の下を見る。



 見るとひなたちゃんがさっきまで着ていたであろう衣服が床に広がっていた。




[熊田 奏美]

 (もー、ひなたちゃんったら……しょうがないわね)




 私はひなたちゃんの服を拾い上げ、服の一枚一枚を近くの棚に畳んで置いていく。




[熊田 奏美]

 「……え?」




 最後に手に取った物を見て私は目を見開いてしまった。




[熊田 奏美]

 (ひなたちゃん、こんなワイルドめなボクサーパンツなんて履くの!?)




 しかも女子の必需品、下着の上であるブラジャーがどこにも見当たらない。



 さっき見た時、ひなたちゃんの胸は非常にささやかなものであったのは覚えている。




[熊田 奏美]

 (ひなたちゃんぐらいの女の子だったらちゃんとブラは着けないと……でも、私が言うような事じゃないのかな……)

 



 私は気にしないようにし、ひなたちゃんのパンツであろうボクサーパンツだけそっと棚に放って置いた。




[熊田 奏美]

 「ひなたちゃん! ここに着替え置いとくから、出たらこれ着てね」



[猫姫 ひなた]

 「あーありがとうございますー!」




 私はその事だけ伝えて、お風呂場を後にした。



 ふと外を見ると、ザーザー降りだった空はポツポツ雨になっていた。



 私はソファに腰掛けてケータイで天気の情報を調べた。




[熊田 奏美]

 「雨止むみたいね」




 天気予報ではこのまま雨は段々と弱くなり、あと数分後には完全に止むそうだ。



 私はそれを見て安心し、ソファに横たわってそのまま寝てしまった……。






──数時間後。






[熊田 奏太]

 「姉さん、姉さんっ」



[熊田 奏美]

 「ん……?」




 奏太の声が聞こえたので、目を開けてみた。




[熊田 奏太]

 「あ、起きた」



[熊田 奏美]

 「あれ、ひなたちゃんは……?」



[熊田 奏太]

 「帰ったよ」




 なんか、さっきまで夢を見ていた気がする。



 でもなんの夢だったか、全然思い出せない……。






 つづく……。

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