第3話 西瓜
趣味で自宅用に畑で作ったとか、販売に至らずとかで西瓜を頂きました。気前よく下さるものですから、一つ二つ、三つ、四つ……
西瓜を爆発させたことありますか?私は2回の経験と1回の伝聞がありググッてみました。株式会社南原ファームさんのHPに欲しかった情報がありました。「スイカの爆発には、過度の熟成、温度変化によるストレス、内部の圧力上昇の3つの原因があります。果肉と水分でぎっしり詰まっている通常はバランスが取れているスイカでも条件が重なると内部の圧力が高まってしまう。例えば、暑い日に長時間直射日光にさらされると、スイカの中の水分が膨張。さらに、熟成が進むと果肉が柔らかくなり、内部の圧力に耐えられなくなり、まるで風船が膨らみすぎて割れるように爆ぜてしまう。」と。
伝聞一回は私の実家であります。昨年私が持っていった西瓜をしばらく鎮座させていて、いざ食べようと包丁を入れたらその瞬間パーンと爆ぜ、台所中に腐ったベトベトした西瓜の破片が飛び散ったとか。
めちゃくちゃ文句を言われ、お詫びにまた家に新たに頂いた西瓜を持っていったという。
そんなこんなで?また今年も私の実家の方に西瓜をお裾分け。私も実家も懲りないねぇとかちょっと思うかもしれませんが、増え続ける西瓜と無類の西瓜好きが実家にいる以上仕方ない。車で10分の道のりをGO。
実は西瓜を乗せる場所を悩みました。西瓜、丸くて転がります。同乗者は3人。本当は誰かの膝の上にでも抱いてのせていって欲しかったのですが、企画外に大きくて重いので気の毒な気がして、愛車の三列目のシートへそっと。
「うーん。急ブレーキを踏んだら、転がるかもしれない。じゃあ、こうして、」
西瓜の前にストッパーになるようにこれまたお裾分けの茄子が沢山(20個くらい)入ったビニール袋をおきました。よし。
信号の無い十字路にて普通にブレーキを。
ゴン
やばい音がしました。二列目(後部座席)に座っていた2名が騒ぎます。
「西瓜が落ちた!!」
運転手は振り向くわけにはいきません。
「どうなってんの?」
助手席の一名も気になってしかたありません。
「席の下に西瓜だけ落ちた!」
「茄子は?」
「全然動いてない!」
「これは、西瓜だけ飛んだな?」
「待って。西瓜のかほりがしない?確か、ただ落ちただけの音じゃなかったよね?」
「あー割れてるー」
「あー汁が!」
「ぐちゃぐちゃになっちゃったの?」
「んーヒビ入った感じ?」
「待って写真撮ってみせて!」
同乗者3人が騒ぐなか、平常心で運転を務めます。運転は人命に関わりますし、さらなる急なブレーキは割れた西瓜をどこに転がしてしまうか分かりません。
ほどなくして助手席の者に現場写真が送られました。
「ヒビが貫通はしていない!西瓜はまだ丸いままだ!このままそっと行くしかない!あー床に染みが!西瓜の汁は出てしまっている!」
でしょうねぇ。西瓜のかほり漂ってますもの。
そのまま西瓜は転がらないでくれていて、無事、実家に着きました。とりあえず母に謝りつつ途中までヒビの入った西瓜を渡しました。
「んーその茄子のビニール袋に西瓜を入れて乗せればいろいろと良かったんじゃない?」
確かに!
「まあ、これで腐ってないことだけは分かったっていうか、、、」
「このヒビに沿って包丁いれてみるわね。」
突然の大きな西瓜割りは実家の冷蔵庫もキャパオーバー。
「幸い美しい断面よ!」
母はそのままご近所さんと半分こした様です。
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