血王の誕生 異世界転生したので、自分の理想とした悪役を目指すことにした!

@acemaru

第1話 転生

僕は、ごくありふれた学生だった。しかし、変わっていると言われることが1つだけある。

それは、悪役を好きになることだ。僕は、漫画やアニメを見ていて、毎度の如くこう思った。

今回の作品の推しの悪役は、何話で退場するのだろうと。

物語は決まって、悪役はヒーローの引き立てるためのやられ役なのだ。

そのことに嫌な気持ちと、怒りを感じていた僕は、もし悪役になることができたら、最強になって、誰にも負けず、邪魔されない悪役ムーヴをしてみたいと強く思っていた。


僕が中学生だったある日のこと。僕はあっけなく死んだ。小学生を庇って交通事故に遭ったのだ。

あっけなく死ぬと思った直後、視界が真っ白になった。


辺りを見回してみると真っ白な空間だった。

そこにはラノベの定番の女神と思われる女性いた。女性に聞いてみる。


「ここはどこだろう?」


「先に自己紹介しますね。私は女神です。あなたの質問に答えると、ここは異空間です。あなたは死んで、魂だけの状態になっています。興味深い魂だったので、ここに呼んでみました。」


「興味深い魂?」


「だってそうでしょう。あなたは悪役が好きなのに、最期はヒーローみたいなことをして、死んだのですから。でもあなたは死ぬはずだった命を救いました。おかげで私は、特典としてあなたを転生させ、私の世界に送ることができます。」


「異世界に行けるの?」


「ええ、行けますよ。魔法も存在します。あなたは、心の中では異世界に行き、悪役になってみたいと思っていた。そうでしょう?」


「ああ、そうだよ。組織を作って、社会を裏から支配し、理想としては魔王と呼ばれるみたいな悪役になってみたかった。今思えば、ヤバいやつだね。僕って」

僕がそう答えると、女神はこう言った。


「ヤバいやつだからこそ呼んだのです。私を楽しませてください。最近退屈しているのですよ。

私の世界では、あなたはなにをしても大丈夫ですよ。組織を作っても良し。魔王となるのも良しです。

ちなみに私は、これ以上あなたに干渉することはないので、あなたは深いこと考えずに自由に過ごしてください。それだけで面白そうなので」


「分かったよ。自由に異世界を過ごしてみる。ちなみに、転生する種族は決まってるの?もちろん人間だよね?」


「いいえ、違います。種族は私が決めました。それは、吸血鬼です。ちなみに私の世界では、吸血鬼は存在していないので、あなたが吸血鬼の始祖ということになりますね。悪役は闇のイメージが強かったので、それで選びました」

言われてみれば、確かにと思ったので、納得した。ちなみに、吸血鬼の弱点として有名な日光についてだか、始祖の吸血鬼だから日光の弱点はないらしい。転生して、いきなり夜しか活動できなかったら、ハードすぎると思ったので安心した。


女神が、他に聞いておくことはないか尋ねてきたので、僕にとって一番大事なことを聞いておくことにした。


「魔法は使えるの?」


「使えますよ。固有魔法として、血液魔法を設定しました。吸血鬼と言ったら、血ですからね。ど定番ですけど」


「魔法が使えるなら良かったよ。ちなみに他にはなにかあるの?」


「それは転生してからのお楽しみということで。それでは、そろそろ時間みたいです。異世界を楽しんでくださいね。あなたを通して私も楽しませてもらいますから。」


「転生させてくれてありがとう。精一杯異世界を楽しむよ!」


その言葉を最後に僕の視界は、真っ白になった。

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