第7話 久しぶりの孤独
とは言ってもこの時間からできることは何もないからいったん家に帰る。
両親は夜遅くまで帰ってこないし、朝早くに仕事に行くから最近は顔も見ていないかもしれない。
「そういえば、まともな食事をしたのっていつだっけ?」
海星が私の家に来なくなってから家は散らかってるし、まともな食事もとってない。
でも、私は料理なんてまともにできないしカップラーメンとかも家にないから今日も夕飯は抜いてお風呂に入る。
「絶対に海星は騙されてるんだ。そうじゃなかったら海星が私の所からいなくなるなんてありえないんだから」
洗濯も最近してないから残りの服も少なくなってきた。
生まれてから今まで洗濯なんてしたことなかったからやり方がわからない。
「早く海星を取り戻さないと、」
なんだか足元がふらふらする。
頭も痛いし、気持ち悪い。
のぼせたのかな。
「とりあえずベッドまでいかないと、」
ふらつく足を何とか歩かせてベッドまでたどり着く。
すぐにそのまま眠りについた。
◇
「頭痛い」
目が覚めてすぐに私は自分の体の異常に気が付いた。
頭がとんでもなく痛い。
悪寒もするし眩暈もする。
完全に風邪をひいた。
熱を測ってみると39.5度あった。
「今日は学校にいけないか、」
早く海星を奪った泥棒猫を見つけ出して取り戻さないといけないのに。
学校に行けなかったら見つけ出せない。
でも、さすがにこの状況じゃ学校に行っても何もできない。
風邪をひいたのは心当たりしかない。
最近まともなものを全く食べていないからだ。
今までは朝、昼、晩と海星が作ってくれていたけど最近は海星が来てくれてないからほとんど何も食べてない。
そんな状況だから風邪なんて引き放題だ。
「絶対に取り返す。絶対に絶対に絶対に」
海星は私のものだ。
他の誰のものでもない。
渡すわけにはいかない絶対に。
取り戻して見せる。
「まっててね海星。私がすぐに解放してあげるからね。」
学校に休む連絡を入れて今日はおとなしく一日中寝ていた。
こういう時はいつも海星が看病してくれていたけどそれが無いだけで不安で仕方なかった。
いつもは海星が手を握ってそばにいてくれたのにそれが無いだけで頭がどうにかなりそうだった。
「早く海星に会いたい。話したい。抱きしめたい」
そう思うけど、まずは泥棒猫を引きはがして海星を魔の手から解放しないといけない。
それが全部終わったら海星と幸せに暮らしたい。
学生結婚でもいいかも。
「ふふふふふふふふふふふふふ」
そんな生活を想像するだけで楽しくて仕方がない。
明日は絶対に学校に行く。
そして泥棒猫を引きはがしてやるんだ。
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