前世で叶わなかった夢が叶った件(破滅竜と呼ばれる竜は生産竜だった)
しょうわな人
第1話 転生の件
僕の名前は
「だっ、誰かーっ!! た、助けてーっ!!」
塾の帰り道で近所に住む中学生三年生の
それでも僕は死にそうになりながら変態の足をガッチリとホールドしてます。
「か、かな、で、ちゃん、に、逃げ、逃げろ……」
声も出づらくなってますが何とかカナデちゃんに逃げろと伝えます。
だけどカナデちゃんからは拒否されちゃいました。
「イヤッ! カナタ
僕の力も段々と抜けてきて…… 変態が自由になりそうです…… このままだとカナデちゃんが危ない……
僕は最後の力を振り絞って変態の両方の足首をへし折りました。けど、それで力尽きてしまった僕……
ああ、カナデちゃんが無事だといいなぁ……
もしも来世があるのなら、次の世では女の人とあんな事やこんな事をしてみたいなぁ……
それが僕の最後の願いでした……
…… …… …… …… …… ……
「って、アレ? 僕、生きてる?」
何故か意識が戻った僕は開口一番にそう呟いていた。
『ざんね〜ん! むっつりスケベのアサギカナタさんは無情にも少女にしか性的興奮を覚えない変態の刃によってお亡くなりになってしまいました!! しかも、あの変態は足首を折られたにも関わらず、側にいたサクライカナデさんまで腹いせに滅多刺しにして殺してしまったのです!! ババーンッ!! 効果音合ってます? では続きを! そんな変態ですが、帰りが遅いカナタさんとカエデさんのお父さんとお母さんが駆けつけられ、怒り心頭になったお二人によって粛清されました。こうして地球から一つの悪が消え去りました…… 多くの犠牲の元に…… けれどもこの事によりよい事も起こります。あれだけ険悪であったカナタくんのお父さんとカナデさんのお母さんが結ばれたのです!! チャララ~ン!! 効果音合ってます? では続きを! そして二人は翌年には男女の元気な双子を授かりました。男の子の名前は
へぇ〜、そうなんだ。うちのお父さんとカナデちゃんのお母さんがね…… 顔を合わすたびに殴り合いの喧嘩をしてたんだけど…… まあお互いに
おのれあの変態め!! 見つけたら今度は首をへし折ってやるっ!! いいや、それだけでは足りないな! 股間にぶら下がってるお粗末なモノも、もぎ取って……
「…… ナタ兄…… カナタ兄! カナタ兄ってば!!」
アレ? カナデちゃんの声が聞こえるよ? そう思って横を見たらカナデちゃんが居たんだ。
「カナデちゃん! 良かった! 無事だったんだね!!」
「ううん、カナタ兄。私もカナタ兄と一緒で死んだんだよ」
『カナタさん、本当にこの人で良いの? 頭がかなり悪そうだけど? 私の説明も聞いてなかったみたいだし……』
「創造の神様、カナタ兄は頭は良いですよ。今は少し混乱してるだけです」
カナデちゃんがさっきから僕に話しかけてきてる女の人にそう言ってるのが聞こえた。
「って! 神様!?」
『そうです!! 私が偉大なる百六十八万七千柱いる神様の中でも上から六十八万二千番目に偉い、愛と創造の女神【ヴェーナース】です!! ドヤーッ!! 効果音合ってます? 良かった』
「うわっ!? 順位微妙……」
『微妙って言うなしっ!! 気にしてるんだからねっ!!』
「カナタ兄、順位についてはそっとしておいてあげようよ」
『クッ、カナデさんにまで……』
何やらカナデちゃんの言葉でダメージを受けたように見える女神様。けれども数秒後には
『ふっかーつ!! フフフ、私を滅ぼす事など人には無理な話よ!! 私のお母様はヴィーナスなんだからねっ!!』
「ああ、ヴィーナスなら聞いたことある神様だ。でもその娘の名がヴェーナースって…… 名付けセンスが無いんだね、ヴィーナス様は……」
『グハッ!! クッ、あ、危うく消滅させられる所だったわ…… やるじゃない、カナデくん』
口から大量の血を吐いてハアハア言ってるけどこの人は本当に神様なんだろうか? 僕がそう思ってたらカナデちゃんが話を戻してくれたよ。
「それよりヴェーナース様。どうして私とカナタ兄をここに?」
聞かれたヴェーナース様を見てみたら既に血を吐いた後なんて欠片も無かったよ。本当に神様なのかも知れないね。
『良くぞ聞いてくれました、カナデちゃん!! 実はあなた達二人を転生させて上げようという事に神々の協議で決まったのです!! けれども同じ地球には転生させられない! そこで、私の創造管理する世界への転生と相成ったのですっ!! パンパカパーン! 効果音合ってます? では続きを! で、ですね、二人にはとある王国の辺境の地に、その地を治める辺境伯の子として転生していただきます! なーに、ご安心を! 魔物も魔獣もおりますが、そんな者どもを簡単に蹴散らす能力を授けますからね!! そもそも、魔物も魔獣も居なかったのに、あの邪神めが介入しやがって!! 今度あったらケチョンケチョンにしてやるんだからっ! ズガーンッ!! 効果音合ってます? では続きを! 二人には地球での記憶を五才になったら戻るようにしておきますからね。活用してねっ!!』
えっと、転生出来るのか? 今度はカナデちゃんと本当の
「ちょっと待って下さい、ヴェーナース様。少しご相談があります!!」
そんな事を考えていたらカナデちゃんがヴェーナース様を引っ張って僕に話し声が聞こえない場所まで連れて行って何やらゴニョゴニョと話をしている。
『オーケーオーケー! 万事、私に任せなさーい!! 信じる者はバカを見る! という邪神とは一味違うところをお見せするわ、カナデさん!! ババーンッ!! 効果音合ってます? 良し!』
話はまとまったみたいだね。しかしさっきから口で効果音を言うのはどうかと思いますよ、ヴェーナース様……
「よろしくお願いします」
カナデちゃんがヴェーナース様に頭を下げてるよ。
『良し! それじゃ、二人とも!! 新しい世界で頑張って生きてねーっ!!』
ヴェーナース様のその言葉を最期に僕の意識はまた途切れたんだ。意識が途切れる少し前にカナデちゃんの言葉が聞こえたんだけどね。
「カナタ兄、先に行って待っててね!」
って聞こえたけど、そうか! 僕が兄として先に産まれるからね。可愛い妹として産まれてくるカナデちゃんを守れるように体を鍛えて待ってるよー……
カナタが転生した後のその場所では……
『アーッ!! し、しまった! 説明を忘れた…… 母様に怒られるしっ!! ハッ! そうよ、本来なら五才で戻る予定の前世の記憶を胎内で戻るようにして、そこへ思念で介入すればオールオーケー!! チョベリバグー!!』
「ヴェーナース様…… ホントに残念女神様だなんて……」
その言葉の後には何やらやらかした様な女神も、そして残っていたカナデも消えて後には何も無い真っ暗な場所があったとさ……
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