第13話 レンタル幼女


「お願いがあります、パニュキスさん」


 数か月に一度の会合トークで、思い切って切り出した。


「その子、レンタルできますか?」


「「「「「なっ!」」」」」


 他のひきこも…守護者たちが絶句した。


 パニュキスさんの膝の上にはいつものようにクローン幼女が鎮座していた。


 その愛らしさたるや、もう目に焼き付いて離れない。


「うーん…」

 しばらく考えた後、パニュキスさんが出した条件は。


「小森ちゃんのクローン幼女と交換なら」

「っ! ぜひお願いします!」


 即答した。


「「「「「ぜひお願いします!」」」」」


 守護者たちの声が揃ったよ。びっくりだよ。


 こうして、お互いのクローン幼女をレンタルすることが決まり、クローン幼女生成に着手した。



 しかし、問題が。

「あのー、どこまでオーケーなのでしょうか?」

 スキンシップはどこまで許されるのか。セクハラなどと言われ嫌われるのは避けたいところ。悩ましい問題だ。


 守護者たちがそれぞれ意見を出し合った。

「お風呂はオーケー」

「キスもオーケー」

「Hはありですか?」

「合意の上でなら」

「Hは問題なし?」

「見た目は幼女、頭脳は大人、問題ない」


 最終結論。

「美少女は世界の宝、愛でるべき存在」

「「「「「同意」」」」」


 さすがひきこもりの申し子たち。欲望に歯止めが利かないよ。

 合意であればHもオーケーという結論になり、守護者たちはうはうはだった。


 日々仕事に追われる守護者たちの荒んだ心にはクローン幼女のかわいらしさが身に染みるのだ。


『お仕事は一週間に一度程度だけですけどね』

 というシルマリア様の突っ込みは無視です。



 * * *



 幼女小森が完成したので、転移陣を使って第一の塔に送り出した。

(※双方向移動可能な転移陣が各塔に設置されています)


 お菓子よし! ベッドメイクよし! ジャージよし!

 仕事をしていないときは常にジャージです。

 今夜はクローン幼女とパジャマパーティーならぬジャージパーティーだ!

 送り出した幼女小森と入れ替わりでパニュキスさんのクローン幼女が転移してきた。


 ああ、ついにこの日がやってきました。パニュキスさんのクローン幼女をこの腕に抱きしめる日が。

 シックでかわいらしい服を着てやってきたクローン幼女は、初めて訪れる部屋に興味津々の様子でキョロキョロしていた。


「いらっしゃい」

「ごきげんよう」


 小さいのにちゃんと挨拶もできてえらいね。


 それにしてもパニュちゃん(パニュキスさんのクローン幼女)の可愛さは格別です。我ながら興奮を隠せません。


 まずは歓迎のハグ。

 スーッと息を吸い込むといい匂い。

 これがパニュキスさんの匂いなんだ。


 それから挨拶のキスをすると、パニュちゃんもキスを返してくれました。感激のあまり声も出ませんでした。


 ハッと気づく。

 自分のクローンとHしたことはあるけど、他人との経験ってゼロじゃん?

 つまり、パニュちゃんとのキスが、初めての他人とのキスってことになるんだよね。

 実質これがファーストキス。そう思うと感慨深いものがあるなー。


 その後は、お菓子を食べて、楽しくイチャついて、いっしょにお風呂に入って、夜にはいっしょにベッドに入った。


「パニュちゃんも『リリアン女学園ワールド姉妹シスターズ』のファンだったの!?」

 パニュちゃんから聞かされてわたしは歓喜の声を上げた。


『リリアン女学園ワールド姉妹シスターズ』--寄宿学校で繰り広げられる姉妹たちの愛の物語。


 原作のラノベは37巻まで、アニメも4期まで制作された人気の作品だ。

 あの姉妹がいい、この姉妹がいいと、眠くなるまであれこれ語り合った。

 パニュちゃんの匂いを嗅ぎながら眠る、しあわせすぎて眠るのがもったいなかったよ。


 朝が来て、いっしょに朝食をすませるとパニュちゃんを送り返す時間になった。今回は初めてということで一泊のみのレンタルです。


「バイバイ、またきてね」

「ごきげんよう」

 軽く挨拶をして別れた。


 パニュちゃんが転移したのと入れ替わりで幼女小森が帰ってきた。

 帰って来た幼女小森は「パニュキスさん綺麗だったー」って目がハートマークになっていた。

 幼女小森も楽しめたようでなによりだ。



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(※リリアン女学園ワールド姉妹シスターズ……略して『リリシス』です)

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