履 歴

履 歴

タイトル：履　歴

俺はYouTubeで怖いチャンネルを見るのが好きだった。

いろんな動画サイトがあって、

その中でも特にゾクゾクするサイトを見繕い、

毎日そのどれかを見て楽しんでいた。

そんな時、4つめの怖いサイトを見つけた。

「へぇ〜これは初めてだなぁ」

そんなことを思いながら

その動画サイトにアップされていた

動画を順々に見ていった。

「ほぉ、結構面白いなぁこれ」

なかなか俺のニーズに合っていたようで、

それからはその4つ目のサイトをよく見たりしていた。

でもそのサイトを見始めて4日目のこと。

動画「後ろを振り向いてみろぉ…」

動画「そこに箱があるだろう？…その中にお前を殺すエキスパートが入れてある…」

タイトル「箱」というホラーシナリオを見ていた時に、

なぜか妙に心に残るセリフがそれだった。

「……これか…」

動画を見ていた俺は後ろを振り返ってみると、

さっき土産物屋で買ってきたプレゼント用の箱が置いてある。

その他にも、その動画の内容と俺の現実が、

なぜか妙に一致してるように思ったのだ。

そこに出ている主人公的な登場人物は、

・昨夜あまり眠れなかった

・3日前に彼女にフラれた

・1週間前に買った宝くじが当たらなかった

・昨日の夕食は久しぶりに大好きなハンバーグ

・最近自分でもYouTubeサイトを始めたばかり

・シナリオライターをやっている

・怖いもの好き

こんな特徴とエピソードを持っており、

これらがことごとく俺の現実と一致していた。

確かに俺は昨日少し睡眠不足で、

3日前に彼女にフラれていた。

1週間ほど前に買った宝くじは当たらなかった。

昨日の晩御飯は確かにハンバーグ。

最近自分でYouTubeサイトを立ち上げた。

シナリオライターもやっている。

そして今見ている通り俺は怖いもの好き。

よくよく見ていけば、

自分でそのYouTubeサイトを立ち上げた

はっきりした日時も出てきた。

「1ヵ月と3日前」。

この数字も、自分の過去を振り返ってみればピタリと一致した。

「……え？」となる。

そして動画の中でその主人公の登場人物は、

自分の背後にあった箱を開けた直後、

その中から不気味な女の霊が立ち現れて、

そいつに真っ二つに斬られて殺されたんだ。

「ひっひっひぃ…」

と言ういつもの効果音でその動画は終わった。

辺りがしーんとする中、

俺は自分の真後ろに置いていた箱を見つめている。

「ゴクリ…」

もしこの箱を開けてしまえば…末恐ろしい妄想が心をよぎる。

結局、俺はその箱を開けずに捨てた。

せっかく買ってきた土産物用の箱だったが、

新しく買い替えようと思った。

もしあの箱を開けていたら…もしかして…

その心の記憶が、これを書いている今でも残っているのだ。

そしてそれから数日後。

俺はふと又あの動画サイトの動画を見たくなり、

YouTubeサイトの左横にある履歴から

自分が見た動画を辿っていった。

その4つ目の動画サイトは登録していなかったのだ。

でも…

「…あれぇ、おかしいな…」

3日前、4日前の視聴履歴を見ていっても、

あの4つ目のホラー動画サイトはどこにも無かった。

「いくらなんでもこんな前じゃない」

そこで俺は履歴を見るのもやめた。

このパソコンは俺しか使ってない。

「どこ行ったんだよ…あのサイト」

動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=pVpbCx8BRvo