二階層掃討作戦編 クラウン長会議
?「やぁやぁ皆揃ったかな?」
?「おぉ、遅かったねや!」
?「何かあったんですか〜」
ギルド本部の地下二階にある会議室にて声が響く。
ギルドの中でも極一部しか使えない、極秘の部屋に3人の男女がいる。
?「ごめんごめん、野暮用がね。今日は僕が進行役だよね?」
あまり身長が大きくない、形容するなら男の子と言うべき銀髪の男性が、高級そうな椅子に腰をかける。
?「しっかし、この椅子は柔らかこうて好きやないねや〜」
黒の髪を後ろに無造作に縛り、男は柔らかい生地が苦手なのか、少々居心地が悪そうにしている。
?「そうですね〜、今日はあなたが収集をかけましたしね〜」
服やネックレスに十字架が散りばめられた服装をし、聖職者かつ高位の身分である事が分かる、この中で唯一の細目の女性がゆったりと腰を椅子の背に預け、欠伸をしている。
?「じゃあ早速本題に入るけど、僕のクラウン員が新たな強化個体を発見したのは知っているでしょ?」
?「当たり前にゃあ、そがな事はとっくに知っちゅー」
?「当然です〜」
?「まぁその事で単刀直入に言うと僕は」
ひと呼吸おき、語尾を強めて言う。
?「3階層攻略へ向けて動き出したい」
和やかな雰囲気が、180°変わった。
女は眉を顰める、男は目がピクつく。
?「それは二階層の強化個体を滅するという認識で宜しいでしょうか〜?」
明らかに先程より声の音程が低くなる。
?「うん、その認識でいいよ。それで我がクラウンからの提案だけど他の2つのクラウンにも協力してほしい。」
?「また連合"班"を作るという事か…」
?「いや、違うよ?」
?「どうゆう事ながや?」
男は怪訝な表情を浮かべる。
?「僕は連合"隊"を作りたい」
?「そうか…だがわしのクラウンは断らして貰うぜよ」
?「理由は?」
腕を組みながら、男は話す。
?「元々うちは単独で強化個体を倒す為に先々代が組織したクラウンじゃき。前回連合班に協力したのも討伐可能かを確かめる為に協力しただけじゃ。早々クラウンの指針を曲げては他のクラウン員に示しが付かん。
それに隣の姉御のクラウンも協力するとは限らんしな。」
そう言い男は椅子を立ち、部屋を後にしようとする。
?「話はそれだけか?じゃあ先に帰らしてもらう」
?「私のクラウンは協力しますよ〜」
?「え?」
帰ろうとしていた黒髪の男は予想していなかったのか、すっとんきょんな顔をし、目を丸にしている。
?「クラウン合同班結成時にも最後まで協力的で無かった姉御のクラウンが真っ先に協力するとはな…おんし謀ったろう」
背丈が一番小さい男に、黒髪の男が詰め寄る。
?「さぁ?何の事?」
?「考えてみろ、只でさえ強化個体討伐が遅々として進まず他の冒険者や地上のなんちゃあ分かっちょらん商業組合がイライラしちゅーのに、三大クラウンの中でわしん所だけ協力せん…わしのクラウンの悪評は広まり、悪評に敏感な商人は途端に手のひらを返す。
わしのクラウンの弱体化に繋がりかねんじゃろう?」
?「へぇ〜!全然知らなかったよ!」
?「全く…腹黒い男ちや。昔からおんしは」
?「酷いな!昔から僕は真っ白だよ!」
?「クハハハ!」
嵌(は)められたというのに、黒髪の男は楽しそうに笑う。
?「で?姉御はどうゆう風の吹き回しなんやか?」
?「勢力は常に変化するものですよ〜、良くも悪くもね〜」
?「まっ、教えてくれるとは思うちょらんぜよ!クハハハ!」
黒髪の男はまた席に付き、視線でその先を促す。
?「じゃあまずは配分からね、ぼくのクラウンが最大人数を占めるから…大体1対1対2で細々とした調整は成功時に…でどうかな?」
?「問題無いで〜す」
?「わしも問題ないき」
?「それで今回は2つの隊で2体ずつ倒す予定。前線の指揮は任せてほしい。その代わり…」
?「…了解でーす」
?「…分かった、その話引き受ける」
?「よし…じゃあ細かな事はおいおい伝えるよ」
銀髪の男は、静かに笑った
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます