番外編 マーヤの過去 1

胸糞あり!



私は糞みたいなド田舎に生まれた。


物心がつく前から、いつも屋根裏部屋に一人。


毎日2回、ご飯が運ばれる。

親とは殆ど話した事は無いし、そもそも接点が殆ど無い。


いつも小さな窓と言ってもいいか分からない穴から外を眺めてた、どうせ外に出ても他の村人から石をぶつけられるから。


この村が普通じゃないのは薄々気づいてた、そして私が愛されて無い事も。



信じたく無かった。

手をつなぎ、家に帰る親子に子供ながら"いいなぁ"と思っていた。


大丈夫、きっといつか私を見てくれる


そう信じて、出来ることをやった。

髪を洗い、多少なりとも身なりが良くなるようにした。

落ちてた錆びたナイフで髪を切ってみた。


大丈夫、いつか見てくれる。


大丈夫、大丈夫


大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫


きっと…いつか


無駄な努力と気づいたのは、新たな家族が誕生してからだ。


母親の、唸るような声が聞こえ、それが絶叫へと変わった。


オギャーという声が聞こえ、喜ぶ声が聞こえる。

始めて聞いた、親のあんなにも喜ぶ声を。

私じゃない誰かにかける声を



ねぇお母さん、どうして目を合わせてくれないの?

ねぇお父さん、私の名前ってどんなのかなぁ?



1人でいい、誰か私を見て欲しい。

願えば願うほど辛かった。



髪を洗うのを止めた、誰も見てくれないから。


床で寝るのを止めた、幸せそうな声が聞こえるから。


やっと気づいた、私は物と変わらないのだ。

どうしてこんな事を分からなかったのだろう、答えはずっーーーと目の前にあった。


私は、望まれてないんだ。


流す涙はもう枯れた、私はただ時が過ぎ去るのを待つだけとなった。


あの時までは

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