番外編 大規模クラウン"ノア"入団試験 十四

トイレでやり過ごそうと思ったが、自分で蒔いた種なので結局出てきた。ったく、とんだチキンメンタルだ!




席に戻り、食事を再開すると


ユウコ「リュウト…」


ヤバッ、機嫌悪くしたかな…




ユウコ「うちこん子達の師匠なる!」


リュウト「…あぁ!師弟制度か!」


急に言われて一瞬、脳が停止したが師弟制度を利用するのは名案だ。


 師弟制度は主に冒険者育成施設で使われるが、個人でも申請し受理されれば師匠になれる。懐かしいな〜、俺達も施設に行く金がないから冒険者の人に師匠になってもらったっけ。ただ…


俺「ユウコ1人は…なんか…危なそう…」


ユウコ「何故!?」




何か…ユウコ1人だと…俺の中の危機感ニキがビンビンに囁いてくる。


俺「ん〜、俺も師匠なるわ!」


元々巻き込んだのは俺だ、ユウコ1人にさせるのは筋違いってもんだろ。




ユウコ「じゃあ二人で師匠やなぁ」


リュウト「二人はそれでいいかな?」


マナ「大丈夫…です…かな?」


リューナ「大丈夫」


ユウコ「よし、そうと決まれば冒険者道具を買いに行こう!リュウト、申請は任せたばい。」


リュウト「りょ」




ユウコ「よし!リューナちゃん、マナちゃん早速買いに行こう!お姉ちゃんイイ店知ってるんだ。」


二人を引き連れて出ていく三人。女子のショピングは長いからな、もうちょっとゆっくりしてから行こう。




ん…?違和感…?何だ?何か忘れてる…あっ!


俺「アイツ払わないで出ていきやがった!」


ちきしょー、やられた!




店を出て、ギルドに赴き師弟申請をする。


そういや、事情聴取に行ってなかったや。何度も言うが、女子のショッピングは長い…ユウコは特に…行ったら荷物を持たされるだろうな〜…事情聴取に行くか!


 


そう思いギルド総合受付に近づく。


俺「すいません、警団の方に用があるのですが」


受付人「どのようなご要件で?」


俺「え〜っと、誘拐というか襲われた?件で…」


受付人「お名前は?」


俺「リュウトです」


受付人「少々お待ち下さい」


そう言い奥の部屋に入る、椅子に座って待つか。




手遊びをして待っていたら10分位で出てきた。


受付人「只今担当職員をお呼び出ししています。あちらの部屋でお待ち下さい。」


指示どうり部屋で待っていると、正義感の強そうな面構えの男がやってきた。




?「お待たせしてしまって申し訳ありません。担当職員のマサヨシと言います。」


俺「リュウトです。」


マサヨシ「今回はどのような経緯であのようになったのかなどの具体的な背景などを教えて頂きたいのですが、お時間の程は大丈夫でしょうか?」


俺「あ〜、多分大丈夫です。」


マサヨシ「了解しました、では何故彼らと行動をしたのか……………」 




カクカクシカジカと説明する、余り語彙が豊富な方では無いが結構上手く伝えられた…と思う。




俺「すいません、それと…聞いていいか分からないんですが捜査の進捗とかって教えて頂きませんか?」


マサヨシ「そうですね…本来あまり言いふらしてはいけないのですが特別に教えましょう。」


俺「!、ありがとうございます!」


マサヨシ「まず、犯人の供述としては脅されてやった、お金が欲しかったなど個々によって違いましたがバックに中々大きな組織がある事が分かりました。」


結構大事になってるな。




マサヨシ「それと現場検証により崖の下に大量の遺体と白骨死体がありました」


俺「うわ」




マサヨシ「犯人の所持していた物に、中毒性薬物や毒性の薬物もあった為、クロと断定しました。」


良かった、それがせめてもの救いだ。




マサヨシ「これは私の推測ですが、恐らく一階層で人身売買が横行している恐れがあります。話せるのはここまでです。」


俺「…やっぱそうゆう人身売買って未然に防いだり…」


マサヨシ「難しいですね、我々警団は"何か起こった後"の対処しか出来ません。」


淡々と語っているが、表情から悔しさが溢れ出してる。




マサヨシ「ですが今回は貴方達のような人のお陰で発覚する事が出来ました。本当に感謝します。」


俺「いや、そんな感謝される様なことは…」


マサヨシ「…貴方はイイ人ですね。」


俺「えっ?」




マサヨシ「ノア入団試験を受けに来たと聞きました。もしかたら…一緒にこの組織を捜査するなんて事があるかもですね。 今回はありがとうございました。」


俺「えっ、あっありがとうございました。」


そうやって出ていくマサヨシさん、あの人…苦労してるんだな…。


俺「ありがとうございました」


受付人「ありがとうございました」


受付の人に挨拶をして出ていく俺。


俺「寒っ」




日が落ちるのが早くなってきた、吹く風は乾燥し肌寒い。




俺「もうすぐ冬か」




冒険者コソコソ話


この世界は実は、地球でいう西暦2000年位の時期になります。なので、制度や法は案外しっかりしています。ですが、魔法やスキルにより科学の発展進度が遅いという設定にしています。それにダンジョン内で銃などを使うと他の魔物まで呼び寄せてしまうのであまり使わないし、スキル自体の開発があまりなされて無いからです

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