番外編 大規模クラウン"ノア"入団試験編 序

〜ダンジョン前新人教育機関、大広場〜


ピリついた雰囲気、張り詰める空気。入団試験番号ナンバー0007。


 先程から動悸がおさまらない、どんなに努力しても心はあるし、不安はある。受験と違い、模試なんてもんはない。




さっきまで連れがいたが今は違う所にいる。完全に一人だ。そして…一発勝負のこの入団試験。そして、周りには田舎から来た俺でも知ってる程の名の通った奴もいる。




…不安にならない筈がない。




俺「ふぅ〜」


落ち着け、俺も地方のギルドではランクAだ。実力では負けてない…そう自分に言い聞かせる。




?「これより!」


 腹から出た声、意識が声の発声者に持っていかれる。




教官?「ノア入団試験を開始する!」


午前6時ぴったしに…




入団試験開始だ。




〜1日目〜


このダンジョンを代表するクラウンは3つある。


ちなみにクランをクラウンと言うのは、ゲン担ぎが発端らしい。


それが今では公式名称として定着している。




…話を戻そう、俺はそのうちの一角である"ノア"を受けに来た。


他の大規模クラウンと一線を画すクラウン…俗に言う三大クラウンというやつだ。




試験内容は一次試験(基礎)、二次試験(実技)があり。一次試験は6日間、二次試験は5日間ある。




今日はその、1日目の体力テストだ。




この体力テストは地球でも馴染みがあるシャトルランに似ている。二本の線があり、その間を走り続ける。そう…永遠にだ。




教官?「それでは始める!」


準備体操を終え、スタート地点に付く。


教官?「はじめぇ!」


大規模クラウンの入団試験に来る奴らだ。




 入団試験資格を得るにはギルドランクB+はいる。また、試験ではスキルの使用が可能だ。おそらく、下位の人でも四時間以上は走るだろう。そして、自分は秘策を用意してある。それの真価が発揮するのは後半以降だ。




〜6時間経過〜


およそ約半分が脱落しただろうか、嘔吐する者もいれば倒れて搬送された者もいた。


 だがまだ試験は終わっていない。俺はここである程度の順位をおさめなければいけない。負ける訳にはいかないんだ!




〜12時間経過〜


試験が始まってはや12時間、俺の秘策がいきてきた。


この、試験最大の天敵が脱水症状だ。




普通は汗を吸って重くなるため、着なかったり、脱いだりする人が多いが、自分はわざと水分を含みやすい素材の服を着て、それに含んだ水を飲みながら走った。




何人か引いたかもしれないが、こうでもしないと勝てない。おかげで、残り約20人。スキルも残り僅かだ。




〜17時間経過〜


最早スキルの効果は消え、スキル残数もない。定期的に水(汗)を飲んでいるが、最早意味もあるかさえも分からない。スキルを使えないなら、素での肉体しか頼る物がない。




服を捨て今俺はフル○ンだ。男女が別の試験会場で良かったと心底感じてる。残り5人、一糸纏わぬ男5人が気力と肉体を頼りに走っている。




〜?時間経過〜


眼の前がチカチカする。口の中は血の味がし、熱を帯びた体だけがある。口についたツバは白くなり。口の中はカラカラだ、他の受験者を気にする余裕はない。まだ行ける!そう思った矢先…視界は黒に帯びた。


残り人数?人




りゅうと




脱落


後書き

入団試験裏話


シャトルランでは各受験者ごとに1人、行き来の回数と走った時間を数える人がおり、全員マスクを被っています。彼らは全員商業クラウンから派遣されていて、毎年早くリタイアする受験者に当たる事を祈っているらしいです。

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