第14話熱発の夜に

母が日曜日、具合が悪いと言うので、タクシーで休日診療所へ連れて行く。

コロナだった。

それから、数日間、朝晩母に玄関で、食べ物と飲み物を手渡していた。

濃厚接触者だから、会社は僕に3日間の自宅待機を命じた。

4日目の朝、出勤しようとすると物凄い倦怠感を感じ、昨晩おう吐したので、念の為に休んだ。

すると、夕方から熱発した。

37.6℃。

夜中になれば、上がるだろうが今はおとなしくベッドに横になっている。

口の中が苦い。だから、水をよく飲む。

ご飯は食べなかった。おかずの刺し身と唐揚げを食べた。

味覚異常で、凄く醤油が辛く感じた。

これは、コロナ?はたまた、思い過ごしか。


こんな、辛い夜に僕はひとりぼっち。

頭が痛いから、マンガを読む気も無いし、小説なんて読みたくない。

この前の芥川賞の作品を文藝春秋で読もうとしたが、その気は起こらなかった。

辛い。

熱発の夜に誰も居ないなんて。

1人モンなら話しは別だけど、僕には嫁さんも子供もいるのに。


近くても遠い、家族。

兎に角、面接日までは何とかしたい。 

今は熱は36.6℃と下がった。

明日から、きっと仕事に行けるだろう。もう、今の職場に愛想を尽かした。


飲み仲間の居ない会社。

皆んな苦しいのは分かってる。

でも、たまには飲みたいよね。

でも、僕は土曜日は母がコロナのお礼でビールを飲ませると言っているので、頑張って働かなきゃ。

でも、夜中の熱発が怖い。


もう、半年以上、嫁さんの声を聴いていない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る