第5話 いつもの同じ歌を

いつもの歌を彼は歌っている

同じリズムの風変わりな歌を

場所は駅の階段を降りた場所

角を曲がると調子はずれの声が聞こえてくる


ラララ ラララ ラララ


ある日、ライオンが毛皮を脱ぎ捨てて街に出て行った

その毛皮を男が拾って羽織った

男は天下の大道を胸を張って歩き出す

足元の雑草すら誇らしく、俺はシーザーかナポレオン

子どもが手を振って笑っている

どら猫が銜えた魚を差し出して俺を称える

なんていい気分なんだ


ラララ ラララ ラララ


俺は王様、皇帝だ

空には虹がかかり、高らかにファンファーレ

流れ星が無数に流れる

時が逆さに流れていく

俺は神になる、そうなれば神になる

この世に生きるすべてのものが称えている

なんていい気分なんだ


彼はギターを鳴らして、歌っている

同じリズムの風変わりな歌を

場所は駅の階段を降りた場所

角を曲がると調子はずれの声が聞こえてくる


ラララ ラララ ラララ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩海 かやまりょうた @kayama82212

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る