第6話 勇者④

 しばらくすると、また勇者ハインツが口をひらいた。


「俺、この戦いが終わったら──バッグの中に溜まっている飲食店の割引チケットを集めて、使えるものがないか調べてみようと思うんだ」


 なんだ、そんなことか。彼が死亡フラグを立てるのではないかと警戒していた魔法使いキューピーは、安堵の溜息ためいきをついてから返事をした。


「断言するけど全部期限切れよ。最悪、店すらなくなっているわ」



***



 しばらくすると、またまた勇者ハインツが口をひらいた。


「俺、この戦いが終わったら──つぶあんのお菓子を食べてみようと思うんだ」


 なんだ、そんなことか。彼が死亡フラグを立てるのではないかと警戒していた魔法使いキューピーは、またまた安堵の溜息ためいきをついてから返事をした。


「あたしはこの戦いが終わったら──こしあんのお菓子を食べてみるわ」



***



 しばらくすると、またまたまた勇者ハインツが口をひらいた。


「俺、この戦いが終わったら──甘しょっぱいものを食べてみようと思うんだ。塩チョコレートとか」


 なんだ、そんなことか。彼が死亡フラグを立てるのではないかと警戒していた魔法使いキューピーは、またまたまた安堵の溜息ためいきをついてから返事をした。


「──その味、知らないなら知らないままにしておきなさい。無限に太るだけよ」



***



 しばらくすると、またまたまたまた勇者ハインツが口をひらいた。


「俺、この戦いが終わったら──『一人カラオケ』ってところに行ってみようと思うんだ」


 なんだ、そんなことか。彼が死亡フラグを立てるのではないかと警戒していた魔法使いキューピーは、またまたまたまた安堵の溜息ためいきをついてから返事をした。


「そもそもあなたはカラオケにあるような歌を知らないでしょう。タンバリンの練習にでも行くつもり?」



***



 しばらくすると、またまたまたまたまた勇者ハインツが口をひらいた。


「俺、この戦いが終わったら──サビ抜きじゃないスシを食べてみようと思うんだ」


 なんだ、そんなことか。彼が死亡フラグを立てるのではないかと警戒していた魔法使いキューピーは、またまたまたまたまた安堵のを溜息ためいきついてから返事をした。


「あたしはこの戦いが終わったら──甘口じゃないカレーライスを食べてみるわ」

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