根暗ながらも大切な女子と俺の親の転勤の為に別れて早数年。彼女は根暗じゃなく笑顔の絶えない人気アイドルになって戻ってきました。...嘘だろ
アキノリ@pokkey11.1
第一章 約束は果たした
アイラブユー
第1話 バニラアイス
『ヴィーナス・メモリーでした!有難う御座いました!!!!!』
ここ最近有名になったアイドルグループ。
幼い頃に俺は麻疹で高熱を出して記憶がない。
まあその。
6歳以下の時の幼い頃の記憶が無いのだ。
会った人の記憶も定かではない。
俺はカップラーメンを食べながらその事を考える。
目の前のテレビ出演しているヴィーナス・メモリーを暇つぶしに観ながら、だ。
何故突然そんな事を思い出したかというと。
目の前の超人気アイドルのヴィーナス・メモリーのメンバー、日高綺羅(ひだかきら)が俺の根暗であった幼い頃に一緒に居た彼女の顔の輪郭に似ている。
眼鏡をかけた三つ編みの。
だからまあそんな事を突然、思った訳で理由は無い。
だけどまあ違うわな。
歌も上手いし踊りも上手い。
だったらありえない。
本当に彼女とはえらい違いだ。
何でこんな事をふと思い出したのだろう。
根暗な彼女の...事を。
そう思いながら俺、佐竹耕(さたけこう)はカップラーメンをすする。
するとヴィーナス・メモリーのリーダー、日高綺羅がウインクしながらテレビ画面を見つめている。
とても魅力的な顔立ちをしている。
顔立ちは小さい。
そしてウインクがとても似合う美少女。
和装でも洋装でも合いそうな顔だ。
そしてアイドル。
日本一有名アイドルでまさに俺には生涯、関係が無い。
「こりゃまあ...ありえんわな」
そう思いながら俺はカップラーメンの汁を飲みながら「ふう」と溜息を吐く。
それから俺は立ち上がってから汁を捨てる。
そしてカップラーメンを潰した。
「スーパーでも行くか」と言いながら俺は表に出る。
そして俺は近所の業務用スーパーにやって来る。
何故この場所に来たかと言うとアイスを買いたい。
だから安値の店に来たのだ。
それから俺はアイスを探してから棒バニラアイスを購入。
そうしてから表に出る。
「あ。やっと出て来た」
サングラスを掛けた女性が目の前に居る。
その女性から声がした。
どうも出て来た人を待って居た様だ。
俺はスルーして歩き出すと。
「ちょ。何でスルーするの?!」
といきなりその女性に思いっきり肩を掴まれた。
俺は「!?」と思いながら振り返る。
そこにサングラスを掛けたファッションが素敵な女子が居るが。
こんな奴は知り合いに居ない。
誰だ。
「...誰?」
「いやいや。...もー。こうくん。冗談がきっついなぁ。まあ変わり過ぎているからかなぁ」
「...は?」
「私。...これでも分からない?」
サングラスをちょっと外す女せ...は?
俺は凍り付いた。
それからサングラスを外してから四角い眼鏡を掛けるその女子。
この女子の名前は...日高綺羅だった。
「...幻?」
「そんな訳無いでしょう。約束は守ったよ。...さあ。結婚して」
「...は?はい?」
「私がアイドルになったら結婚するって言った。結婚して」
「...待ってくれ。どうも夢を見ている様だ。頬をひっぱたいて良いか」
「そんな訳無いでしょ。っていうかそんなのしなくても私は日高綺羅だよ。覚えて無いの?」
いや。日高綺羅...いや。
日本一有名なアイドルとしか思えない。
そう思いながら俺は素直に「日本一有名なアイドル様」とだけ答える。
すると「えー?!本当に覚えて無いの!?」と唖然とする。
俺は「幼い頃の記憶が無いんだ。...麻疹にかかって高熱が出てな」と言う。
「...あ。そうだったんだね」
「そうだ。だからお前が幼い頃のあの...」
「根暗な女子だった人だよ。再婚したの。だから名前も違う」
「...諸星綺羅(もろぼしきら)だったのか。本当にお前は」
「そう。...その時の約束も全部忘れたんだね。悲しいなぁ」
「...俺としてはお前が...」
俺は。
まだありえないと思う。
だって諸星綺羅は...根暗な少女としてしか記憶してない。
だからありえない。
そう思いながら俺は「...名前が同じでお前は別人じゃ無いのか」と聞いてみる。
「そんな訳無いでしょう。...私は約束を果たす為に有名アイドルになった。...貴方と結婚する為に」
「...マジかよ...」
「女の子は成長すると変わるんだよ」
「...しかし変わり過ぎだ。嘘だろ」
「わぁ!バニラアイスだ!」
「話を聞け!?」
そして日高綺羅は俺の持っているビニールからバニラアイスを奪う。
それから食べ始めた。
俺は盛大に溜息を吐きながら綺羅を見る。
綺羅はニコッとしながらアイスを食べていた。
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