第2話
「今日も暑いから、早くやりなさいよぉ宿題」
「はーぁーーいっ」と呑気な返事をした瞬間
夏姉が「バサッ!」と雑誌で頭を叩いてきた
あれ?夏姉……機嫌悪いのかな?
まずいな 怒らすのは……と思い、「はいっ!やりますっ」と急いでリビングの机にむかった。
勉強机は、リビングに置いてあるんだ。サボれないようにだって、あんちゃんが置いたの。
少しして夏姉の携帯が鳴り、漢字ドリルをやりながら誰からだろうと気になり、チラチラ夏姉を見ていた。
何か喧嘩?してる?……あんちゃん?違う?誰?
電話が終わり「コラッ!!!よそ見して!」と言いながら夏姉が、こっちに歩いて来た。
「や、やってるよ、ほら、漢字」と私はドリルを鉛筆でトントン叩いた。
なのに夏姉は、とびきり痛いゲンコツをひとつ、私の頭に落とした。
「いー、いたぁ、痛いよっ!夏姉の馬鹿!きらい!痛い痛い!」
「あっそう、嫌い?あいにく私もよ」
「う、うそ、ごめん、じょーだん!だよ、だってゲンコツ……」
「ゲンコツが何?何だって言うのよっ」
怒っている。まずい!どうしよう…
「夏姉。ごめんなさい」
「ほら、ここで、勉強しなさいよ」
と、リビングとキッチンの境目の床を指さした。
「うん、わ、わかった、ごめんなさい」
その床で漢字ドリルをやるのは、大変だった。だって足は痛いし書きにくいし、夏姉が歩く度に文字がぶれるし、合間に夏姉が覗きに来ては、「きれいに書きなさいっ!」と背中や、お尻を数回叩くしさ……
暑いし、「あ、あつー」と思わずもらすと、その度「バチーン」と、お尻に布団叩きが飛んできた。
「あんたの兄貴も馬鹿だけど、あんたも馬鹿なの?」
「な、夏姉、あんちゃん?さっきの電話?」
「うるさい、計算ドリルも、やりなさい」
「まだ、やんなきゃダメ?」
「布団叩き、どこに置いたっけ?」
「やるやるやる算数ね」
あぁ、今日の八つ当たりは、長いなぁ……
けど、夜は、可愛がってもらえるから、まぁ、いっかぁ
早く夜にならないかなぁ……
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