あなたのそばにも首吊り女性!

崔 梨遙(再)

1話完結:500字

 幼い頃、多分、小学校の低学年だったと思う。僕は母に連れられ、母の友人の家を訪れた。


「奥の部屋で、TVでも見ていなさい」


 奥の部屋に入ったら、目の前に黒い長い髪、黒い服の女性が首を吊っていた。思わず、息を飲んだ。母の元に行き、


「奥の部屋、嫌やねんけど」


 何故か“女性が首を吊ってる”とは言えなかった。言ってはいけない気がした。


「何を言うてんの? TVが退屈やったら寝て待っててや」


 奥の部屋に戻らされた。やっぱり女性が首を吊っている。僕は見ないようにして、怖いのでTVを点けた。そして首吊り女性に背を向けて寝転がり、首吊り女性を見ないようにした。


 だが、気になる。時々チラッと見る。いる! やっぱりいる! そんなことを繰り返した。首吊り女性は何もしない。ただ、そこにいるだけだった。


 2時間後、帰ることになり、ようやく僕はその家を後にした。


 帰り道で母に聞いた。


「あの家、誰か首吊ってない?」

「よくわかったなぁ、あの家、首吊りがあったから安く買えたらしいで」



 僕は、首吊り女性と2時間も同じ部家にいたのだ。







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あなたのそばにも首吊り女性! 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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