女性不信の俺は、固有スキル《マッチングアプリ》を最強ギルド創りに全振りしてみた!
ハチシゲヨシイエ
第1話 女性不信は、こうして作られた!
俺の名前です。今は29歳。都内でシステムエンジニアをやってます。
俺には、年の離れた二人の姉と、1個下の一人の妹がいて、生まれたときから女性優位の家庭で育ちました。
うちの家はみんな割と美形で、中学生のとき、友達から心底うらやましいと言われた覚えもあります。キレイな姉ちゃんとか、かわいい妹とか最高じゃん、って。
心の底からそんなことないと言いたい。他人にはわからないでしょう。
でも、家の中じゃ性格ブスな醜い奴等なんです。家事やめんどくさいことは全部俺におしつけて、彼氏が家に来たら俺を追い出したり。その彼氏も毎回ちがってました。やばいなこいつらって、身内ながらドン引きでした。
だからですかね、中学生のころは女の子自体が苦手で、基本男とばっかりしゃべってました。3年間。その方が安心できたんで。で、高校に上がってちょっとびっくりしたんです。
凄い大人びた女の子が多い!しかもいい子ばっか。
みんな親切だし、ノリも合うし、女の子への苦手意識は高校のおかげで薄れたんです。
そして最初の彼女、リサ。黒髪を伸ばした清楚な同級生が、俺に告ってきてくれて、高1の夏に付き合いだしました。
世の中では、高校時代の彼女とそのまま結婚する人いるじゃないですか?あ、自分もそうなるんだ!って本気で思えるぐらい、お互い好き同士だったし、Hとかそんないやらしいこともせず、すごいピュアな恋愛を1年間続けてました。
なのに。
高2の夏でした。リサが、家の近所の公衆トイレから、俺と同じサッカー部の先輩と出てきたのは。二人とも服も髪も乱れていて、俺はその場で吐きました。
なにこれキモ。NTRってやつじゃん。嘘だろ、キモ。うわ、キモ。なんだよ、やば。キモ。
その日、メールで公衆トイレの件を伝えたら、別れよう、と言われました。
――1年以上誘ってこないし、絶対私のこと好きじゃないって思ったんだもん、私さびしかったんだよ。――
とか自分勝手な文面にもドン引きしたけど、浮気した側が、別れよう、って言ってくるところにもマジで引いて。倫理観どうなってんだ。
なつかしいな、ははは。
で、女性不信気味になったそんな俺を救ってくれたのが、ヒトミでした。ショートカットと、薄桃色のフチをしたメガネの女子。高3の春。席が隣だったのもあり、彼女は熱心に勉強のわからないところを聞いてきて。俺が図書館で勉強していると隣に座ってきて勉強したり。たまたま帰りが一緒になって、自転車をニケツしたり。青春をヒトミのおかげで取り戻せた、なんて友達に自慢しました。そして、一緒の大学を受けることになり、俺たちは、同じ大学に合格したら付き合う約束をして、見事二人とも合格。晴れて俺たちは付き合いはじめたんです。やば、ドラマみたい。運命の人はヒトミだったんだ!2月の合格発表のときは本気でそう思っていました。
けれども。
3月、クラスの仲良い男女の8人グループで、神奈川の旅館に卒業旅行へ行ったとき、ヒトミはお酒を飲んでべろんべろんによっぱらい、一緒にきてた男友達と最後までしました。しかも2人と。彼女と付き合っていることを隠していたせいで、男友達が「ヒトミとヤレた」と自慢してきたために発覚したんです。
もちろん即ヒトミとは別れ、このときのメンバー全員ブロックして、俺は彼女と親友たちを失った。
ほんっとなつかしいな。ははは。
そして大学生。長く話してもしんどいから簡単に言うと、大学2年の時にできた大学1年生の彼女マリカは、サークルの新歓コンパでお持ち帰りされたとカミングアウトしてきて別れて、大学3年の時の彼女の大学4年生のシホは、誕生日の前日にサプライズで彼女の家にいったら、マッチングアプリで会ったという会社員と真っ最中だったので、LINEをブロック、電話を着拒して別れました。
はぁ。もう、あんな思いはしたくない。
そう思っていた俺が、最後の人と思って交際したのが、アスカでした。職場の後輩。すごい一生懸命な子で、俺のことを一番に考えてくれて。彼女がいたから、結構ハードな業務も頑張れた。
主任になったときに、思い切って告白して交際スタート。3年の交際を経て、自分が係長になるタイミングでプロポーズした。答えはOK。
僕は怖かった。また裏切られるんじゃないかって。
だけど。
アスカは貞淑な女性だった。
しっかり結婚式まで挙げられた。結婚式の夜、自分の奥さんになったアスカと一緒のベットで寝たとき、本当に幸せをかみしめて、ひそかに泣いたんだ。
なつかしいな。
俺はいま、昔を思い出しながら、改めて妻であるアスカに感謝の念を抱きました。
アスカがいるから、俺は生きていけるんだ。
――ブー、ブー。
「ん?」
アスカからLINE?
俺はLINEを開きました。
・・・・・・結論からいきます。
アスカは不倫をしていました。俺と付き合う前から、妻子持ちの課長と。そして、今もその関係は継続している。俺よりも課長のことを好きだということと、今夜もかわいがってほしいという内容を、課長に送るつもりで、誤送信してきたようです。
「ははははははははは」
ちょうど仕事の休憩中、缶コーヒーを飲んで手すりによっかかりながら見ていたのだけれど、頭が真っ白になっちゃいました。あー、めまいがする。
「え?」
気づいたら体勢を崩して、俺は。
「あー――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」
高層ビルから真っ逆さまに落っこちました。
――俺、死ぬんだ。ちょうどいいや。死にたかった。心底死にたかった。さっきのLINEでもう、俺は幸せになれないと確信したから。あーあ、生まれ変わったら、女は絶対に信じないぞ。
「俺は!!!!!女が!!!!!!!!!!!!だいっきらいだああああ!!!!!!」
グシャ。
という音と共に、オレの第一の人生は終了した。
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