謙虚な弟は名付けに喜ぶ

 いつも行く森の中で突然姿を現した銀狼を最初に見つけたのは僕だ。威嚇して唸ると兄さんも気付いた。僕達が警戒している方向を恐る恐る確認した 幻獣の子がいきなり駆け出したのはびっくりした。僕達兄弟は本能で警戒して、兄さんは吠えながら飛びかかった。僕は他の子達を守らなきゃと吠えて警告した。飛びかかった兄さんは軽くあしらわれた。何故か知らないけどあの子が銀狼に擦り寄って甘え出した。

《皆んなその銀狼は大丈夫だから落ち着いて!》

怯える子馬を抱き締めてなだめながらご主人が念話で言って来たけど、僕達は気持ちが昂ぶって聞こえてなかった。兄さんが再度飛びかかろうとそうしたら銀狼に一喝された。

《シズマレ!》

《コノ銀狼ハボクノ親代ワリナンダ!》

 兄さんは納得してなかったみたいだけど、僕は理由が分かって安心した。今度からはこの銀狼は大丈夫だと認識した。でもこの時クレドだけが落ち着いていて、後から聞いたらご主人と繋がっているため知っている銀狼だって伝わったからと教えられた。繋がっているって良いなぁって思った。


 グリフォンのお爺さんと水豹の親子が治療が終わった頃に、ご主人から僕達にここに慣れたか聞いてくれた後に提案があったんだ。

名付けの仮契約をしたいかって。

もちろん喜んだよ!

だってご主人様に名前を付けてもらえて、クレドみたいに少し離れていてもご主人と繋がっているなんて素敵だよ。

カリケイヤクっていう言葉はその時は良く分かってなかったけど、クレドかカリケイヤクっていうのをしてから口に出していなくてもご主人と繋がるギシキっていうものだって前に教えてもらったんだよ。だから兄さんと2人してすぐにお願いしたんだ。

 一緒にご主人のところに来た子馬さんも小さな声だったけど嬉しそうに頼んでいたよ。でも幻獣の子が迷っているみたいだから、明日森から帰って来たらギシキっていうのをやるんだって。

早く明日にならないかなぁ。


僕達兄弟は森に行く時からワクワクが止まらないんだ。だってご主人と繋がるんだよ?楽しいに決まってるよ。僕達の寝床に帰って来て兄さんがご主人に飛びかかりかけ、僕も興奮してご主人の周りをぐるぐると回っちゃった。そしたらご主人に注意されちゃったよ、カリケイヤク出来ないよって。

僕達が大人しくなったらギシキっていうのをしてくれて、兄さんにはソル、僕にはルナっていう名前をくれたんだよ。

その瞬間僕達の額の辺りがカッてあったかくなったらご主人の声が大きくはっきり聞こえるようになったよ。そして胸の辺りがほんわかとあったかくて気持ちが良い。これが繋がったって事なんだね。

仔馬くんはスティードって名前になったよ。でも幻獣の子はまだしないんだって。

繋がるのはご主人だけでなくて、カリケイヤクっていうやつをご主人とした者同志も繋がったよ。直接姿が見えなくても繋がっているって感じるのは良いよ。

幻獣の子は色々悩みがあって決められないんだって。早く皆んなで繋がって、一緒2遠くまで好きに走れる様になるといいなぁ。

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