第一章18話『帰城』
焦る
そんな少女に彼女は一度呼吸を整えると、動揺と心配が入り混じったような声でさらに続けて質問する。
「本当に大丈夫なんですか…? 怪我人を
「だ、大丈夫だよ! それに私、何もできなくて
「ふふっ、可愛いことを言いますね。でも
しかし少女は彼女の言葉を無視すると無意識のうちに体に鞭打ちながら立ち上がろうする。
すると傷に障ったのか、頭部にズキッっと痛みが走る感覚を覚えた少女は
「いっ……」
「大丈夫ですか? やっぱりまだ安静にしていた方が……」
事実に基づいた
一方の
「んっ」
「気休め程度ですがきっと少しは楽になりますよ」
四つ織りしても尚、
――それからしばらく経った頃、寝息で少女が眠ったことを確信した彼女はぽつりと呟く。
「
「――――あんたに介抱してもろてだいぶ楽になったし別にウチはええよ?」
――それはまるで不意打ちの様な返答だった。
「起きていたんですか??」
「今さっき起きてん。怪我人に歩かせるわけにいかへんしその子はあんたがおぶってくれるんやろ?」
そんな彼女は妹のように見ていた
話は少し遡るが二人が國を出て
そんな道中で
「あんたに一つ聞きいときたいんやけどええ?」
「……何ですか?」
「最近ウチの記憶がどうも曖昧なんやけどその子となんか関係あるん? それか――」
単刀直入な主君の問い掛けにやましいことでもあるのか露骨に
「……そう、ですね。今の段階で私から話せることがあるとすればそれは
――従者のいいようになっている。
ぼかされはしたが主君の手前、嘘はつけないのだろうことが感じられる言い回しに一瞬そんな考えが脳裏を過り、
その後も二人を取り巻く空気は変わらず、口数がめっきり減り、重たい空気のまま二人が城門前に到着するとまるで全て見ていたかのようなタイミングで分厚く大きな木造の扉は『ギィィィ』と大きな音を立てながら開門し、中からシエナが現れる。
「お早いお戻りですね。
「おっ、用意がええやん。流石やな」
「
「
「ええ」
二人は会話に第三者が加わったことでいつも通りのテンションを取り戻すと、三人は玉砂利の上をゆっくりと進み
城内に入ると
階段を上り、廊下を歩いて到着した部屋に入ると予め布団が敷かれていて、彼女はそっと背負っていた
「私に任された
※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
「う~ん。ここは、どこ? あれ?
今では頭痛はすっかり引いたようで、上体を起こして体の不調を確認するが特にこれといった怪我や不調の見当たらない
すると物の少ない部屋の中にかつて自身が置いたままにしたフードの付いた黒いマントが目に留まり、少女は今いる場所がこの國、
「ここって昨日の……。私、
目を覚ました少女は自身のことは二の次に
その結果、城内を一通り歩き回って見ても三人を見つけることはできなかったが散策時間に比例して
御爛然 いなひ @inahi17
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