心の青空、ふたりの夏

第9話

夜が深まるにつれて、宿の温泉も静けさを増していった。青白い月明かりの下、莉子は一人で温泉に向かい、夜の静けさの中でのひとときを楽しむ準備を整えた。温泉は24時間営業で、夜間でも安全に利用できるように配慮されていた。

露天風呂に足を踏み入れると、すでに星空が広がっていた。温かいお湯が心地よく身体を包み込み、周囲の静けさが一層リラックスをもたらした。莉子は少しずつお湯に浸かり、日中の疲れが溶けていくのを感じた。

突然、ポツポツと雨粒が温泉の表面に落ち始めた。最初は小さな音だったが、次第に雨が強くなり、お湯の中での雨音が心地よいリズムを刻むようになった。莉子は雨に包まれる温泉の中で、自然の恵みを感じながら、さらにリラックスしていった。

「雨の音って、こんなに心が落ち着くんだ」と、莉子は心の中で呟いた。温泉のお湯と雨の音が、彼女の心を穏やかにし、リフレッシュさせてくれる。雨が降ることで、温泉の中での時間がさらに特別なものに感じられた。

夜空を見上げると、雨の中にも星がちらちらと見え、幻想的な風景が広がっていた。莉子はその美しい光景を楽しみながら、心の中で静かな未来を思い描いた。

湯から上がった後、部屋に戻ると、雨音が窓からも静かに聞こえ、心地よい眠気が訪れた。莉子は温泉でのひとときを振り返りながら、心の中で満ち足りた気持ちを抱えて床に就いた。