第7話
青空と緑の風景に包まれた小さな温泉街。莉子は、自転車を停めて、温泉宿の入り口にたどり着いた。今日の目的地であるこの温泉地は、静かな山間にひっそりと佇んでいる。小道を進むと、石造りの風情ある建物が見えてきた。青空が広がる夏の午後、木々に囲まれたこの場所には、夏の光が優しく降り注ぎ、宿の周りには自然の香りが漂っていた。温泉宿の入り口で荷物を受け取ると、莉子は部屋へと向かった。
部屋に入ると、木の温もりを感じる和室が広がっていた。畳の上に広げられた布団と、窓からの柔らかな日差しが心地よい。莉子は荷物を置き、窓の外に広がる緑の景色を眺めながら、ほっと一息ついた。部屋のテラスには小さな庭があり、そこには池の水面が穏やかに揺れていた。
「温泉、楽しみ…」莉子は、宿のフロントで受付を済ませると、浴衣から温泉用のタオルに着替え、柔らかな浴衣に包まれた。
温泉の入り口に向かう途中、木々の間から差し込む柔らかな陽光が心地よく、静かな自然の中に溶け込むような気持ちになった。温泉は、緑に囲まれた露天風呂。周囲には小さな石垣が組まれ、細かく流れる滝の音が心を落ち着けてくれる。
温泉に到着すると、莉子はまずは外気に触れることにした。木々の間から見える空の青さと、ほのかな風の心地よさが、彼女の心を安らげる。露天風呂に一歩足を踏み入れると、温かい湯気が立ち上り、穏やかな温かさが全身を包み込む。
莉子は静かに湯に浸かり、目を閉じてその瞬間を楽しんだ。温泉の湯は、肌に優しく、心地よいぬくもりが広がっていく。頭の中で、今日の旅のことや、日常の小さな出来事を思い返しながら、温かい湯に身を任せる。
「心地よいな…」莉子は、柔らかな湯に浸かりながら、自然の中での贅沢な時間を堪能した。風が温泉の湯に揺らされ、ささやかな音を立てながら、莉子の肩や髪を優しく撫でる。
温泉に浸かることで、体の芯からリラックスし、心も静まっていく。莉子は、ここでの時間がいかに貴重であるかを感じながら、さらにのんびりとした気持ちに浸る。陽の光が温泉の水面に反射し、きらきらと輝く様子を眺めながら、ひとときの安らぎを楽しむ。
時間がゆっくりと流れる中で、莉子は心も体もリフレッシュされ、穏やかな気持ちで満たされていった。温泉を出た後も、その余韻を楽しみながら、自然の中でのひとりの時間を心から満喫した。
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