矜持
痴🍋れもん
矜持
口を固く結んだまま顎を上げて反抗的な眼差しを真っ直ぐ前に向けている。ドロドロに汚れたスカートの裾を掴んだ拳骨の関節には痛そうに血が滲んだ彼女の今にも崩れそうななけなしの矜持を守ってやるため片方しかない靴の代わりに背中を差し出した躊躇う彼女を促すように背中を揺らすとおずおずと肩に小さな手がかかる。背中の重みは同じ鼓動を分け合っていた頃の何倍になったのだろう。言葉を持たず帰路を辿ると二人の溶け合った長い影が跡を残した。
矜持 痴🍋れもん @si-limone
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます