四言目
日の暮れた国道356号線で、ひたすら車を走らせる。
立ち寄ったコンビニで買った缶コーヒーと、温度を上げた暖房。
そんなもののお陰で、不意にもう冬である事に気付く。
移ろう季節は足早に過ぎ去り、気付けば見慣れた景色さえも、初めて訪れた場所のような装いだ。
川を挟んだ向こう側に、鹿島灘の工業地帯が見えた。
夜に浮かぶその明かりは、この殺風景な感傷とは不釣り合いな程に美しいものだった。
流れる日々の中でさえ、変わらないものもあるものだ。
ため息をひとつ吐き出せば、白く凍えて、冬の空気に消えていった。
午前中の雨に濡れた街の空気は、夜になっても澄んでいるようだ。
そろそろ、北風が吹き始めるだろう。
砂を撒き散らしながらやって来るそれは、やがて雪を連れてくる。
この街の全てを、その白で覆い尽くしてしまえば、きっと、この懺悔も洗い流してくれるだろうに。
そうやってまた、今年の終わりに、この罪深き日々を振り返る。
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