チャプター9 エクセプション≪除外≫(1/2)
「えっ、大会? すごいすごいっ!」
そのとき急に声を張り上げ、
今月末、
走行練習を終え、苦しそうに浅い呼吸を繰り返す
「そんなにすごくないよっ。センシュケンに比べたらすっごく小さい、選手同士の馴れ合いみたいなもんだし……でも、この
「
眉根を寄せる枝保に、
不透明な容器の中身を見ることはできないが、接続した
容器をひといきに飲み干した
「よかったら、応援に来てくれないかな? 実はけっこう
「えっ、行きたいです! 行きます!」
「即答じゃん。ありがとっ。じゃあ……ま、集合時間きまったら連絡するね」
陽光がついにビル影へと飲み込まれ、一日の夜の時間となる。
帰り
「いい
「またねーっ!」
≪学園≫医務室での出会いから、2人の関係は1か月以上続いてきた。
死に行く身体の
しかしそれが、出場選手でなければ
「無理は通せないんじぇね。おとなしく講義に出るんじぇねよ」
気の抜けるまぬけな声に、その
医務室のソフムに
晴れない表情のままで
次の日も同じように過ごした。次の日も。その次と次の日は≪学園≫の講義が休みの日であるため、母親の買い物と外食に付き合った。
大会当日も≪学園≫で、途方もない時間を講義と研究に勤しんだ
その最中に
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
カレンダーを切り替えると、
いつもの
30分ほど経ったころ、車は≪学園≫正門前駅の敷地内に到着する。
車を降りた
正門から遠く離れた研究棟の、生涯クラス・生物科では何人かの仲の良い学生が、
「あっ、ちょっと待ってて」
「いつもの?」
「おけおけ。じぇねこが来たら、テキトーに言っとくね」
理解ある返答をくれる学生に、ふたたびうなずいた
戸を開くと、コーヒーと紙巻きタバコの臭気が
発生源にはソフム。
「そういえば……」
「あいさつもくれないんですか?」
「お、は、よ、う!」
「おはようございます。ふふっ」
ソフムをからかって笑う
ソフムがやって来て
「深く息を吸って?」
ソフムの指示に従って、
激痛に、少しのあえぎを漏らす。
その間にソフムは無遠慮なようすで注射針を刺した。
「
「そりゃ、まあ……」
「以前、あの子も『がん』になってね。経過観察と
ソフムの注射器を持つ手がふるえる。
間もなく、
ソフムは同じ手で、注射器と灰皿に置いた紙巻きタバコを交換し、
「今の≪スキン≫で3代目だって聞きましたけど」
「ふぇっ、そうなの?」
「知らなかったんですね。2代目の
「さあね。その言い草だと、2代目は『がん』になっていないんでしょ? わたしは『がん』になるような、好き者のためだけのソフムだから。
ソフムは自虐半分に、
「み、
「しないよ。
おそるおそる
「そして、今回の
ソフムは
それは
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