五十音式
藤原琉堵
あ行
過ちを、嘆く素振りで、繰り返す、
晴れた日の、午後の日射しの、その中に、
名前のない、花が一輪、揺れるよう、
触れない、その手を伸ばし、引き裂いて。
あ「過ち」
□
抱きしめた、細い腕の、その中に、
錯覚を、感じる君の、背に触れる、
かじかんだ、指先なぞり、辿れども、
意味もなく、流るる涙は、迷子の灯。
い「色事」
□
積み上がる、虚像の塔の、頂上に、
座り込む、人影一人、俯いて、
居ない視線、気にして喋る、一人劇、
崩れてく、積み木の山に、埋まる僕。
う「嘘」
□
晴れた日の、午後をなぞり、辿るよう、
片翼の、翼を広げ、飛び立てど、
失速の、渦の中に、堕ちていく、
妄想の、浮かぶ雲の、絵空事。
え「絵空事」
□
夕闇に、栄える今日の、終焉に、
音もなく、崩れる明日に、重ねれど、
いつだかの、遠き日ひとつ、浮かんでは、
両の手に、溢れて消える、追憶者。
お「思い出」
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