第15話 ガウルルブ殿下
泉の林から出て、3時間を走った未発展地用箱車は45キロメートルも進んだ。
正直なところ、俺はこの
つまりは1日で80キロメートルの道のりを
今回はマーちゃんの採取と観察が主な目的の旅であるし、俺が出来るだけ街への帰還を引き延ばしたいということもあり、可能な限りの寄り道をしている為にこうなのだ。
気がつけば山脈の
「マーちゃん、今日はこの辺で止まって、風呂入って寝ちまいたいぜ。山脈はもう目の前だけどよ、夕方に近い時間になっちまった」
俺は慌てて移動することも無いのを良いことに、この山脈行きでは完全にツアーガイドでいることを
既にもう完全にマーちゃんの
そういうわけで、マーちゃんと出会ってから11日目の今日は草もまばらな荒野のど真ん中で終わらせたかった。充分に進んだと思うし、もう夕方だ。
「それもそうだな。山の
俺の
「それって俺の知ってる奴じゃねえってことだよな。この辺で別れるってなぁどういうこったい」
「夕食の時に紹介しよう。ケンチも1度会った相手だが言葉は交わしていなかったな。私はコミュニケーションに関して自信を取り戻した。
うちの異文化交流姉さんは今までに無い自信のオーラと共に俺にそう返してくれた。
アイテムボックス内のフロアに引っ込んでからは早かった。
先に日課のお祈りを済ませ、さらには曲剣で素振りと型をこなし、最後に健康体操をやり風呂に入ったら夕食の時間になった。
「マーちゃん、そいつらは解剖しちまったんじゃねえのかよ!」
うちの
全員が簡素な布の服を着ていたが、1人だけ立派な体格の奴が
「ケンチ、あの時には死亡した者も確かにいた。だが黒クモさんに捕獲された者達もいただろう? 彼らは生き残りの方なのだ」
うちの
「彼らが使う言語に極めて近いものをこちらは知っていたのだ。それなら違いの修正は可能だ。後は
どうやらうちのトカゲ姉さんは謎のオプションに
連中は全員が不思議と大人しく、変なローブを着た代表の1名以外は
マーちゃんはといえば、俺の右隣にやって来て浮かびながら顔を
「そんで、こちらのコボルトの
その代表コボルトはちゃぶ台を挟んで反対側に腰を下ろしてしまった。俺はこいつらが
ちゃぶ台の隅には黒いスピーカーの様な箱が置かれ、不気味な低い音が時折そこから流れている。
「一族の戦士を葬った強い者よ。挨拶が遅くなったが、私はガウルルブという。これでも貴族の末席にいる者だ」
目の前のコボルト代表と無言で焼き肉を食べていたところ、唐突に
「そいつは知らなかった。俺はケンチってんだ。あの事は恨みっこ無しだぜ。お
俺がそう返すと、今度はスピーカーから
「
マーちゃんに聞いた通り、このガウルルブ殿下は明日出ていくらしい。
一党の
「マーちゃんは面倒見の良い人なんだぜ。俺や猪どもは食わせてもらってる方なんだ。あんたがたもここで働いたら良いじゃねえか」
俺は
「ケンチ、私も彼らに同じことを勧めたのだがな、断られてしまったのだ。
隣で浮いているうちの世話焼き姉さんからもそんな台詞が出た。
そしてダミノルさんの名前がマーちゃんの口から出た瞬間、ガウルルブ殿下の両肩が
「あの恐るべき知性の棒使いのことは聞かせないでほしい。このローブの
何があったか何となく察した俺は黙ってマーちゃんを見た。
「行政補佐用の
マーちゃんの短い説明で完全に理解した。
そして、800年前の聖人ターケシ・ゴーリの気持ちを少しだけ理解した。
彼は
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※今日のオマケ
実は『アイデアメモ(新)』という近況ノートをサポーター限定にして、アイデアメモ代わりに使用しています。サポーターになってくださった方がいらっしゃるのですが、気がついたら見てみてください。バカしか書いてありません。
今日はその一部を紹介します。
●未来の教皇庁メンバー
アンサール・ロスナッシ1世(教皇)
ケンチ(大司教、使徒)
マンマデヒク(御使い)
マレニクルズ・オジサンディエス(司教)
ネーデウス・コムラガエリウス(司教)
ドナンナ・ネラレンダロウェイ(司教)
アニャーロ・アッファンダル(補佐司教)
トーリ・ブランコ(補佐司教)
ジューディス・サウランデル(補佐司教)
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