第10話 泉の真実
「シンデル先生、俺ぁ
こちらを
「ハハハ、そう言われればここは田舎じゃったのぅ。そういう事は気にせんから。昔の学生にもそういう者がおったな」
そう返すシンデル教授は
ああいう人でないと、この周辺の水の精霊と付き合うことは難しいのかもしれない。
「そういうわけだマーちゃん。今から質問タイムみてえなんだがどうするよ。ガタガタと言われることはねえかもだが、今の常識が通じねえこともありそうだぜ」
「あの方はこの
俺とマーちゃんはシンデル・メイ教授に対してどう対応するかを小声で話し合い、聞かれたら全部を話してしまおうということになった。
俺たち以外にここに来そうな奴もいないだろうと思われたからだ。
「シンデル先生、もしよかったら茶でも出しますんでこちらに来ませんか。うちのマーちゃんも歓迎してくれるみてえなんで」
俺のその返事に合わせて、黒子さん達や黒クモさん達、休止中の吸い取るさんが収納口からアイテムボックス内へと全て戻った。
「まさか! 空間系の
どうやらこの
「先生はぁ茶ぁは飲めねぃでぃす! 水じゃねぇくて煙みてえなもんでぃす」
俺の誘いに対しては水っぽいブーラブ姉さんの方が突っ込んだ。
シンデル先生は精霊のブーラブと共にこちらへ滑るように近づいてきた。足元の水は戻ってきていたが、元々が空中に浮かんでいるので問題は無いのだろう。
ちなみに、四角い水の湧き出し口には先程見かけた肉食両生類であるチクワーブが顔を出していた。幽霊先生はあの生物とも仲が良いのではないだろうか。
「シンデル先生、恐ろしく広いが中へ入っておくんなさい。ところであのチクワーブは放っておいてもよろしいんで?」
幽霊先生を収納口から中へと招き入れながら、ついでに2メートルの両生類の扱いについて聞いてみた。
「あいつは最近になって住みついた奴でな。あの水没してしまった
これは不思議な空間じゃな。本当にえらい広いのう。何ザトーあるのやら」
そう言う幽霊先生とブーラブ姉さんを俺達はカマクラの方へと案内した。
幽霊先生の言ったザトーという単位はメートル法
俺の先輩達が単位の問題に介入したのは先史文明崩壊が関係している可能性もある。
彼らがこちらに来た時期は不明だが、社会を維持する知識が
とにかく先生が大陸公用語の話せる
フロア内に戻った俺たちはいつもの
幽霊先生は半透明の身体で器用に座布団に座ってそれを聞いていたし、ブーラブは例の玉を持った状態で木の
うちのトカゲ姉さんは俺の左隣に浮かんでおり、今度はシンデル先生に質問を投げることにしたようだ。
「シンデル先生はあそこに何年ぐらいおられるのか
マーちゃんの境遇については相手に驚かれたが、落ち着いてもらうために幽霊先生の住居の修理について先に聞くことにしたらしかった。
「ここには1000年はおるのではないかのう。
「あんのぅ泉がねぇと困るんでぃす! 川は死にますか!? みんなぁ切れ散らかすでぃす!」
シンデル先生の返答に対して、後からこの地域にやってきたらしいブーラブ姉さんが抗議の声を上げた。水の精霊的には死活問題というやつなのだろう。
「そう言えばそうじゃったな。あれは地下水を
地震災害とその修理を後回しにし続けたことによって、あそこは精霊の
水資源は天然のもので、幽霊先生は精霊の同類に近かったのが見事に合ってしまったのだろう。人通りが無いのがさらに好条件だったのだと思う。
「その辺は明日だな。水中作業班を編成しよう。シンデル先生の住居には別の入り口を設置し、泉はそのまま使えるように水道管を延長する。ここは任せてもらおう」
全員が困ったなという雰囲気の中、うちの頼れる建築土木工事姉さんが良い感じの案を出してくれた。
「そんじゃあ明日の件はこれで解決だな。俺ぁまだ生身なんで、申し訳ねえが先に休ましてもらいますぜ。マーちゃん、シンデル先生には質問をまとめてもらった方が良いんじゃねえか?」
俺は精霊さんとの戦いや交渉では何もしてないが、精神力(MP)が減るという理不尽な現象に直面していた。次は知性の無い野生生物にしてもらいたいと思う。
正直にいうと、今日はもう飯を食って寝てしまいたかった。
「ケンチ、それは良い案だ。ちょうどここに収蔵している書籍を大陸公用語に
俺は久しぶりに良い案を出したらしい。
そしてうちの異世界語学習中姉さんは地道な勉強を続けていたことが判明した。
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