第2話
「全く見つからなかったわ」
植物辞典を隈なく確認してみたがどこにも茶葉が見当たらない。
いえ、このどこかにあるのかもしれないけれど、説明が雑っ!!
植物の絵と生えている場所が載っているだけ、これだけで分かるかっ!!
はっ……。
横からレイナの視線を感じる。
危ない危ない。つい心の声が口から飛び出すところだったわ。
豊富な知識を持っているリリカの記憶にも植物の知識はほとんどない。公爵令嬢だからだと思っていたが、たぶんあれだ。辞典の情報量が少なすぎて覚える意味が全然ないんだろうな。
「うーん、どうしようかな」
「どうかされましたか? お嬢様」
「あっ、えっとね、東方諸国で売られている茶葉がほしいんだけど」
「茶葉ですか。そもそも東方の国は遠すぎるので両国間の貿易もあまりしていませんからね。機会があるとするなら、一年に一度、商人の方が東方諸国から売りに来られるときですね」
「次はいつなの!?」
「正確なことまでは。ただ毎回、今の時期で一週間ほど滞在されるそうですよ」
「!! 早速行かないと!!」
「こっ、これからですか?」
さすがに急はダメだったかしら。でも
「善は急げよ」
「えっと?」
ああー。こっちの世界にはなかったかー。
レイナにとっては知らない言葉だったのだろう。首を傾げている。
「とっ、とにかく、準備してちょうだい」
「かしこまりました」
今すぐ行けそうだ。良かった。
リリカたちは東方の商人が毎回商売を行っているという港に到着したが、地元の人々の話ではまだ来ていないらしい。
そうして、商人に会えるまで足繁く通うことにした。
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