インタビューちゃんには敵わない

kit

第1話幼馴染には敵わない

人間、気になることは調べずにはいられないものである。

これは大多数の人が経験したことのある出来事だと思うが、例えば気になるあの子の好きな食べ物や、テレビに映っている景色がどこなのかについて調べたくなる。いわば探究心というやつだ。


この探究心を抑えられない人からは逃げた方が良い。


なぜかって?


それは現在進行形で被害を受けている俺を見たらわかることだろう。


☆☆☆


「この道も飽きてきたな」


中学を卒業し高校生になった俺、『向井作』は少々苦労していた。


中学の同級生に会いたくないという理由で名門を目指した結果、とんでもない努力の末私立の名門『白星高校』に入学し、当然のように勉強についていけない。


しかも高校デビューに失敗し友人と呼べる人物はいない。失敗も何も元々作ろうとしたわけでもなく、気がついたら孤立していた。


これは特殊な家庭で育ったために仕方のないことだと考えている。


小学生の間は親が面倒を見てくれたが、中学生になるともう一人でも大丈夫だろうと海外へ行くようになった。


海外に調査へ出かけ、数ヶ月単位で帰って来ず、帰ってきたと思ったらすぐに次の地へ向かう。

実質一人暮らしというわけだ。


そんな俺が部活や委員会に所属しているわけもなく、毎日学校に行って帰るだけの生活を送っていた。


「まだ入学してすぐなんだから、こんなんじゃまともにやってけないよ」


「舞、お前は人の心配より自分の心配をするべきだ。ほら、時間みろよ」


学校の近い俺は間に合うが、隣町の学校に通っている幼馴染の『伊手真舞』はそろそろ危ない時間だ。


「やば!!ありがとう!先行くね」


そう言い残し、とんでもない速度で走って行き、あっという間に見えなくなった。


舞とは幼稚園からの幼馴染で、中学になってからは時々一人の俺と遊んだりご飯を作ってくれたりした。


人前では清楚系を装い、容姿も良いためかなりモテた。


そんな舞がわざわざ俺なんかの世話を焼いてくれているので正直かなり助かっている。


俺の中では唯一心が許せる友達なのかもしれない。


そんなことを考えていると学校が見えてきた。私立というだけあってかなり綺麗だ。


校門のすぐそばには園芸部の花壇があり、一面に花が咲き誇っている。


そんな美しい景観の学校とは思えないほど今日は騒がしかった。


部活の勧誘だ。


今日は学期が始まって2回目の部活勧誘で、前回の勧誘で部活を決めなかった人用の勧誘である。


しかし、大抵の人がすでに入っているためここで部活を決める人はほとんどいないはず。


なぜそうも躍起になっているのか疑問である。


そう思いつつ、部活に興味の無い俺は勧誘を避けるように校舎へ向かうが、


「あなた!インタビューに興味はありませんか!?」


捕まってしまった。

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