本当の想いを聞かせて〜何の取り柄もない平凡な僕が、吸血鬼の皇子に溺愛されています〜

若葉有紗

prologue 運命

 吸血鬼と人間が、共存して生きている世界。僕らは、運命と呼べる出逢いをした。

 エメラルドの瞳に、モノクルをつけている。少し切長で、目つきが鋭く感じる。それが更に綺麗さを増している。


 漆黒の綺麗な髪。背中まで伸びていて、それを毛先で結っている。

 骨格がしっかりしていて、誰が見ても絶世の美男子だ。僕を見る瞳には、他のものは映っていない。


「ルーク、愛してる」

「僕もだよ。ジェイデン、愛してる」


 月明かりに照らされて、僕たちは当たり前のように口付けをした。

 僕を見る瞳は、とても綺麗で吸い込まれそうになる。僕の頬を触っている手に、自分の手を重ねる。


 おでことおでこをくっつけて、僕らは見つめ合う。エメラルドの瞳を見ると、心の底から安心することができる。

 最初は家族のためだったけど、今はこの人と一緒にいられて本当に幸せだと感じている。


「前世も今世も来世も、俺にはお前だけしか見えない」

「僕も、ジェイデン以外は見えない」


 この物語は何の取り柄もない庶民の僕と、心優しい吸血鬼の皇子のラブロマンス。

 何千年にも渡る、幾星霜の奇跡の物語である。


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