第4話 彩の秘密

翌朝、月子はラブレターのことを考えながら、早めに学校に到着した。昨日の紙メモと手紙の内容を何度も読み返し、手がかりを探そうと努力していた。朝の校庭はまだ静かで、数人の生徒が少しずつ登校しているだけだった。


教室に入ると、月子はまず中村彩の机に目を向けた。彩が来る前に何か手がかりを見つけられればと思っていたが、机の中には特に目立つものは見当たらなかった。しかし、彩が来ると、彼女が昨日の月子の質問に対してどのように反応するのかが気になっていた。


授業が始まり、月子は意識を集中させることにしたが、心の中でずっと彩のことが引っかかっていた。授業中も集中できず、時折彩の方をちらちらと見てしまう自分がいた。彩は普段通りに落ち着いて授業を受けているように見えたが、月子には彼女が何かを隠しているように感じられた。


昼休み、月子は昼食を取りながら、彩がいるグループの近くに座った。彩と話す機会を得ようとするも、何を話しかけていいのかわからず、食事に集中するフリをしていた。すると、彩が立ち上がり、友達と一緒に校庭に出かけるのを見かけた。


月子は迷った末、彩がいない間に机の周りをもう一度調べることに決めた。机の引き出しや周囲を注意深く確認し、小さなメモや落ちている物がないかを探した。すると、机の下に小さな紙切れが落ちているのを見つけた。それは彩の名前が書かれた紙切れで、表面が少し擦り切れていた。


月子はその紙切れを拾う勇気が出ず、彩が戻ってくるのを待つことにした。しばらくすると、彩が戻ってきて、紙切れに気づかずに教室を出ていった。月子はその様子を見てから、意を決して紙切れに目を通すことにした。


紙切れの中には、彩が日記のように書いたメモや思いが詰まっていた。その内容の中に、月子が気になっていた「昨日の放課後」に関する詳細が書かれている部分があった。どうやら彩は、放課後に教室で手紙を書いたり、誰かに渡そうとしたりしていたことが記されていた。


月子が紙切れを読んでいくうちに、彩が非常に慎重に行動していることがわかり、その理由が見えてきた。どうやら彩には、彼女自身がどうしても手紙の内容を知られたくない理由があるようだった。その秘密が何か、まだ完全にはわからなかったが、手紙の差出人や彩の思いについても多くのヒントを得ることができた。


放課後、月子は友達と合流し、何事もなかったかのように過ごしたが、心の中では彩の秘密を解き明かす決意を固めていた。彩がなぜ手紙を書き、誰に渡そうとしていたのかを知るために、さらに深く調査を続ける必要があると感じた。


その夜、月子は手紙と紙切れを前にして考え込んでいた。彩の秘密が徐々に明らかになりつつある中で、月子は新たな疑問とともに、次の一歩を踏み出す覚悟を決めた。次の日には、彩との対話がまた一つの重要な鍵になると信じていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る