人生ハードモードゲームLv.3

音雲 夏空

零日目 Lv.0 日常

木漏れ日の入りこむ部屋。鳥のさえずりが聞こえる朝──。もはやそんなこと考えられるぐらいの気温じゃない。暑すぎる。天気予報じゃ十日連続猛暑日だって。人暮らせてるの?これ。おかしい。これじゃ夏休みなのにどこにも行く気になんてなれないし。 

──どっか違うゲームの世界にでも行かないかな。暑くもなくて事件も事故も自然災害も争いもなーんにもない世界に行きたい。

「...連れて行こうか。そんな世界に。あなたの望む。」

なんか聞こえた?誰かいる?いや、そんなはずない。戸締まりもして暑いから窓も閉めてエアコンガンガンにつけてたし。夏だからって幽霊でも出た?...それか幻聴...?

 不信感を抱き自分は後ろに恐る恐る振り向く。そこにはすらっと高い背、全身を覆うほど大きな黒い布をまとって...

いなかった。そんなゲームの悪役じゃなかった。背が低くて白色のワンピースを纏った女の子だった。確かに声が高いと思った。

 なにげに少し動揺しているとまた話だした。

「そんな怖い話じゃないんだから。どこからも入ってなんか来ないよ。貴方の気持ちからあたしが見えてるの。幽霊扱いなんてしないでよね?」

なんか怒られた。けど、現実離れしたこんな体験は少し興味ある。話に乗ってみようと

「何処かに連れて行ってくれるの?こんな鬱陶しい世界じゃないところに?何にも困らないの?」

とかなんか色々聞いてみた。

 女の子曰く、平和な世界に3日間連れて行ってくれるらしい。暑くもなく涼しいとかさっき思ったことが現実になるとかすごすぎるとしかこのとき思っていなかった。

折角の休みならばと思いとりあえずついて行ってみることにした。

行くには特殊な車に乗っていくらしい。特殊なだけでかなり現実味がありふれているが。でも、行けるなら、ね。しょうがないとか思ってたりする。

そうして、3日間の旅に女の子──リサと共に行くことになった。この時は何もまだ。知らなかったけれど。


✧       ✧       ✧


「マスター。上手くいったわよ。また増えたわ、"人質"が。」

「よくやった、リサ。これで私たちの世界がもっと繁栄する。...人質─いや、この"ゲームプレイヤー"はどんな反応を見せるかたのしみだな。」

「...本当に楽しみですね。」

今あたしが話していた相手は、この世界のボス─マスターとも呼ばれる、いわゆる大統領的な存在の御方。さっきあたしがこの世界に誘ったゲームプレイヤーみたいに、可哀想な人間をこの世界は平和なのって誘うの。でも、そんな楽じゃないよ?このゲームの名前は...って、そろそろ日にちが変わっちゃうじゃない!この続きはまたのお楽しみよ。それじゃあ壱日目、まだまだ気楽に楽しんで。行ってらっしゃーい!

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