Ex-6 分からなかった彼女の気持ち
俺の幼馴染、
しばらくすると彼女は周りに '' 俺とは腐れ縁 '' とか '' 異性として見てない '' などと吹聴するようになった。
だから俺は希から距離を置くようにした、いつまでも腐れ縁の男が傍にいては彼女の出会いを邪魔することになるから。
" 私は、晴政と一緒だからね ''
その時に希から言われたその言葉はとても嬉しかった。
母さんが父さんと仲が悪くなってギスギスとした雰囲気が家に満ちていたせいであの時の俺はだいぶ荒れていた。
そんな俺にとって希は心の支えとも言えた。
しかしその後に先の言葉を聞いた俺は、まるで上げてから落とされたような気持ちになった。
ただでさえ母さんと離ればなれになってしまい荒れていた俺にとって、それは追い打ちと同義だった。
そんな俺を知ってか知らずか彼女は 女子たちの間で話題になっていた先輩と付き合いたいと言っていたし告白までされていた、断ってたけど。
希は俺がそのことを知らないと思っていたみたいだが…なぜあの告白を断っていたのかあの時はよく分からなかった。
結局アイツがどうしたいのか分からない俺は、中学三年の時なんて彼女と一度も口をきかなかった。というよりとにかく距離を置き続け友人たちとの時間に全振りした。
信用していいのか分からないヤツよりも信用できる友人の方が大事だからな。
その中でも
学校外だけでなくクラスメイトにも仲の良いヤツもいて、彼らとの時間が俺にとっての幸せな時間だった。
その時の俺からは希のことなんてすっかり抜け落ちて、次第に彼女のことをただの知り合いと認識するようになった。
ただ付き合いが長いだけの、本当に腐れ縁だった。つまり希の言う通りだったのだ。
そうして高校に入学ししばらく経ったあと、
一年の時から彼女とは同じクラスで、最初に俺を見た時からを気になっていたと言っていた。
チョロい俺は二つ返事でその告白を受け入れた。
今になって考えると、その時の希についてほとんど何も覚えていない。
別のクラスだったのもあるのだろうが、何よりもう彼女に対して興味をすっかり無くしてしまっていたのだ。
俺が莉乃と付き合っていた時、彼女は一体何を思っていたのだろうか?
しかし腐れ縁より今の縁…恋人を大切にするべきでそちらに意識を割くのは当然と言えた。
かろうじて覚えているのは、希が 中学の時からの友人から 俺との事を聞かれる度に相も変わらず '' 興味無い '' だの '' 異性として見れない '' だの言っていたと思う。
まぁそれを聞いてもどうでもよかった、俺も関わる気無かったし好きにすればいいと思った。
恋人が出来た身からすれば、異性の幼馴染など下手に関わり続ければややこしい事になるだろうと思っていたので悩む必要が減り むしろ助かったくらいだ。
思えばそれも全て彼女なりの照れ隠しだったのだろう、しかし鈍感な俺はいつまでもそれに気付かずに、あの事件がおきるまで彼女とは全く口をきくことはなかったのだった。
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