Ex-4 二度と報われぬ恋心、その名は自業自得
ここしばらくハル君とはあまり話していない。
せいぜい日常会話や
それでももちろん彼に対する想いは未だ健在で、アレで自分を慰める日々が続いている。
好きな人が他の女の子とそういう関係になっていることで興奮するなんて変態だけど、どうやら私はその通りらしい。
まぁ彼のお父さんとパパ活していたくらいだから間違ってないか。
私がパパ活をするようになったのは、ハル君という素敵な恋人とのデートの為だったり、オシャレの為だったりでお金が必要だったから。
それに加えて、私があんなバカなことをするまではお母さんがバイトを許さなかったのもある。
毎月のお小遣いだけでは足りなかったし、バイトもダメとなるとちょっとキツかった。
だけどそもそもパパ活を選んだのは、友達からそれを教えてもらったということが大きい。
それがなければ絶対に選ばなかったとも言える。
まぁ結果的にそれをした私が悪いのは百も承知だけどね。
楽して稼げるだんて言葉を聞いた私は、まさかと思って自分の心の中にしまいこんで試そうとは思わなかった。
でもそんな時に話しかけてきたのがハル君のお父さん。
友達から聞いていたよりずっと多い金額を提示して、パパ活を申し出てきた。
初めは断ったのだけれど、それでもお金の誘惑に耐えきれず、そして流されるように事に至った。それが間違いの始まり。
それから一ヶ月…いや、それ以上に長く続いたかもしれない。
遂にと言うべきか彼に事を見られ、私はどうすればいいのかと怖くなった。
その時あの人が持ちかけた提案に乗ってしまったのも馬鹿だったと思う。
大丈夫だと自分に言い聞かせてその提案にのって彼を悪者にした。許されない冤罪。
傷だらけになる彼を見ても、私はどこか呆然としていて思考停止していた。
それほどまでの悪行を重ねても尚、私は何故か彼とヨリを戻せるだなんてことを本気で考えていた。
今でもどうしてそんなことを考えていたのかは理解出来ないけど、今となっては後の祭り。
絶対に直せない溝を自分の手で作ってしまった。
完全な自業自得で笑えもしない、誰が聞いても絶対に私が悪いと言うだろう。
今ではハル君は
私より遥かに進んだ二人に嫉妬してしまうが、それがさらに自分をおかしくする。
「ハル君、今日も二人で…」
バイトが終わり帰宅する私の目の前には、仲睦まじく歩く二人。
本当は彼の隣に私がいるはずだった。
でも、その幸せは私自身の手で完膚なきまでに壊してしまった。今更ながら後悔が滲む。
自責と後悔に溺れた私に彼が話しかけてくれたのは、それから数日経ってから。
「いつまでしょぼくれてんだ、
そう言ってきた彼の表情は呆れが浮かんでいた。
まさかとは思ったけど、話しかけてくれるなんて…とても嬉しくなる。
「あはは…そうだね、いつまでだろ…」
彼の問いかけに答えることもできず、ただ自嘲気味に笑う。今の私にはそれしかできない。
「いい加減 前に進まねぇと仕方ねぇだろ、そんなんじゃ
「うん…」
彼の言っていることは分かるけど、自分を責め続けてしまう。いつまでも停滞してばかり。
だけどそれもきっと独り善がり。
「お前のしたことは許すとは言えない。それでも反省はしてるだろ?」
「うん、どう考えても私が悪いのは分かるよ」
どこにも彼に落ち度はない。私が彼を裏切ったのだから。
「あの時のことは忘れちゃいけないと思う、その気持ちはずっと背負うものだ。二度と同じ間違いをしないようにな」
「うん」
諭すように彼は告げる、でも私はその真意が分からずただ相槌を打つ。
その言葉に間違いはないから。
「ただ、ずっと同じ場所で留まってたら意味ないだろ。少しでも前に進まなきゃ俺の気分だって悪い」
私のことなんて気にすることないのに、優しいハル君のことだから放っておけないということだろうね。
「だから、なんつーか…いい加減元気出せよ、前みたいに笑っててくれ」
「っ…」
そう言った彼の声色はとても柔らかく、そこから感じられる優しさに思わず息が詰まる。
彼なりに私を考えてくれている、そう思ってもいいのかな?勘違いじゃないよね?
「せめて、俺たちは友達としてくらいはやっていこう、それじゃあダメか?」
「……ううん、ダメじゃないよ…でも、いいの?私…」
「良いとか悪いとかじゃなくて、莉乃は自分のやったこと悪いと思ってんだろ?だからもう良いんだよ、絶対ヨリは戻せないけど、いつまでも暗い雰囲気見せられたらたまんねぇって」
そううんざりといった様子の彼を見ると、私はどこまでも自分しか見えてないことを理解しハッとした。
罪悪感を感じているのはまだしも、それを押し付け過ぎていたのかもしれない。
「……ありがとね、ハル君」
「なら態度で示してくれ」
ハル君とはどう接すれば良いのか分からないけれど、きっと彼にとって今のままではやりずらいのだろう。
「うん、これから友達として…よろしくね」
「おう」
そう頷いた彼の笑顔に、今まで重かった肩の荷が下りたような気がした。
ただその時に気付かなかったのは、ずっと彼の近くで私が犯した罪の結果を見せつけられ続けるという。それはある種の罰なのかもしれない。
私にお似合いの
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