二十話 その後のクソ親父

 俺が奴らにハメられてしばらく、淡々と仕事を続けている。


 例の息抜きも失って、慰謝料と養育費まで払わされ非常に苦労している。

 酒匂さかわに横領の件がバレている以上、効率よく金を手に入れることもできず鬱憤うっぷんの溜まる日々が続く。


 あのクソガキに莉乃りのという女は勿体ない、だから俺が抱いてやっていたのだ。

 しかも相場より高い金まで払ってまで。


 それなのにこの仕打ちとは、本来ならば有り得ないのだ。

 来江くるえ美智みさとも俺の元からいなくなり、浮気による離婚…つまり俺が有責という事でそちらにも慰謝料を支払わされたためかなりカツカツの生活を強いられている。


 今までが充実していただけにその対比がより強く感じられる。



 酒匂にも弱みを握られてしまい、決して逃げることもできずにいた。

 ここは今まで長年務め続けてきた会社だから、下手な転職よりも給料面は圧倒的に安定しているからだ。

 ただただ仕事をして、コンビニで買った弁当を一人で食べ、シャワーを浴びて寝る。


 味気のないクソったれな生活だ。


 しかも俺が来江という新しく女を見つけた時に捨ててやった優美ゆみまで現れて散々だ。


 元々 優美とはヤっていて晴政はるまさができてしまったので結婚しただけだ、都合よくヤれる女がほしかっただけで、別に子供が欲しかった訳ではない。


 俺の望まないクソガキなぞに愛などあるわけがない。むしろ忌々しいくらいだ。


 それの面倒を見させられたせいで陰鬱いんうつとした気持ちを抱えている時に出会ったのが来江だ。


 見た目が良かったので、金を払うから抱かせてくれと言ったのが始まりだ。

 アイツは金をチラつかせるとすぐに股を開く。

 顔も悪くないどころか良い方だし

 しかも可愛い娘がいるときた。


 俺から結婚を申し入れ、いずれは母娘共々抱いてやろうと思ったが、そこに息子の彼女が現れたので、まずはそいつから金で抱いた。


 義娘みさとより可愛いくて俺の好みだったので非常に良い気分だった。



 晴政にバレたときはかなり焦ったが、俺と莉乃でアイツがDVをしたとでっちあげる事で事無きを得た。

 ひとしきりぶん殴って黙らせた後、来江と美智を騙し彼女らを使って精神的に追い詰め、願わくば自殺でもしてくれればと思ったのだが…。


 最初は上手く行ったと思ったのだが結果的にはこのザマだ、何が間違っていたというのだ…。


 殴り足りなかったのか、それとも金を積んで黙らせてやれば良かったのかは分からない。


 どうして…何が悪かったのか…と後悔ばかりがつのる日々だ。

 気分は沈み、体調も悪化の一途を辿る。


 過去の充実していた日々に思いを馳せながら、いつも通り仕事をして帰るだけのつまらない日々を過ごす。なんと惨めなことか。


 どうにかならないかと考えるが、その為にはまず酒匂の存在が邪魔になる。

 せめて奴の目がなくなればいいのだが…。



 結局道の開けぬままどうしようも無い日々が続いていく中、俺はとある少年と出会った…。

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