十九話 事を終えて
あれから俺は、
それまで住まわせてくれたこと、
希と母さんは久しぶりに会ったことで嬉しそうにしていた。
母さんの家は、前の家より少しだけ学校から離れているが転校する程じゃない。
そこに荷物を置いて、足りないものは改めて買い足した。
クソ親父に買ってもらったものの大半は使いたくないので、勿体ないが置いてきた。
まぁ誰かのお下がりにでもどうぞ、って感じ。なんならクソ親父が使ってもいいよ。
学校へ行くと相変わらず
まぁ協力してくれて助かった所はあるしね。それに俺も甘いので、完全に情を捨てきれていない所もある。
ちなみに、俺に絡んできたチャラ男はいつしか、学校に顔を出す回数が減った。
休み始めたのは確か…彩藤さんが美智を助けた日とかそのあたりからだったような…。
案外 美智に絡んでたのはアイツだったりして。
まぁどうでもいいか。
莉乃と俺が和解した(という周りの勘違い)ことで、より他の連中が俺と関わりに来るようになった。
俺に嫌な視線を向けてきた奴らはもれなくあしらってやったけどね。
ちなみに言うと希はかなりベッタリするようになった。
希は俺の事を好きだと言っていたし、協力してくれたのもありその気持ちに応えてあげたいが、あの時の心の傷が効いているようで、未だに心から彼女を信じられない…。
希も希で俺の事なんて興味ないとか周りに言いふらしてたからなぁ…。
彼女には悪いと思い、今はまだ告白に応じられないことを伝えた。
それを聞いた彼女は俺を抱き締め、頭を撫でながらこう言ってくれた。
「大丈夫だよ、私はいつまでも待ってるから。だから今は、ゆっくり休んでね」
その優しさに報いたい、だから今はその言葉通りにゆっくり休もうと思う。
今でもたまに学校帰りに
しかし日に日にやつれていっているので、怒りが収まった今、ざまぁとも思えず少し心配である。
もうしばらくしたら声を掛けてやろうかな。
ちなみに元義母からの接触は一切ない。
まぁ俺のことなんて興味なかったろうし、俺もどうでもいいので知ったことでは無いけどね。
今は、バイト先のファミレスで
「とりあえず、
「おけっす」
酒匂 曰く、クソ親父はあれから横領をすることなく、真面目に働いているようだ。
クソ親父には言っていないが、酒匂としてはいずれ証拠を突きつけて訴える予定らしい。
しかし既にかなり顔色が悪く追い詰められているようだ。ざまぁみろ。
俺はそれよりもっと酷い目にあったんだ。
…いや、ヤツにあわされたんだ、まさに特大ブーメランだな。大草原だ。
慰謝料は一括で払っており、養育費も今月分は無事に支払われており、今のところは特に行動を起こさなくても良さそうだ。この調子で頼むぜクソ親父。
「怪我も大分引いてきたな」
「そっすね」
マジで痛かった。
あの時はどうなる事かと思ったが、案外どうにかなるもんだ。
協力してくれた彩藤さんも酒匂にも感謝しかない。もちろん希にもだ。
「気にすんなよ、俺もアイツもお前には感謝してんだ、恩返しする機会があったからしたってことさ」
「そうなんスか?」
確かに前に、ヤンチャしてた二人とやり合った事はあるけど。
あぁ二人といっても二人同時にやり合った訳じゃないよ。ちゃんと片方ずつ。
「あの時お前とやり合ってなけりゃ、俺らきっとは良くない道に行ってたしな…まぁそれに気付いたのは割と最近だけどよ」
「そうか…まぁ俺は売られたから買っただけだけどね」
当時は二人とも相当ヤンチャしてて、あちこちで喧嘩を吹っかけてはボコボコにしてたらしい。
俺ならやれるぜ、みたいな感じでイキってたところで俺にも喧嘩を吹っかけてきた。
というか俺も俺で荒れていたからどちらがという訳もないかもしれないが…ンなことは今更か。
もちろん黙ってやられるままな訳もなく、しっかり応対したよ。
彩藤さんとは互角だったけどね。
ちなみに酒匂にはギリギリ勝ちました。
それからアイツは俺のことをマサ君と呼んで敬語で話すようになった。
ヤツなりのケジメみたいなものらしい。
酒匂の方が年上なんだしそこまでしなくてもいいのにね。
二人とはそのときからちょいちょいつるむようになった。
「ま、これでちっとは落ち着いて生活できそうだな…来週からはシフト入れてくんだろ?」
「そうですね」
バイトは人間関係も充実しているので続けていきたい。
「まぁ今週はゆっくり休んで、来週から頑張ってくれよ」
「おけっす」
やっとクソ親父の断罪が終わって、前と同じような生活が戻ってくる。
…とても疲れた、父親も彼女も失ってしまったが母さんとの生活が戻ってきたんだ。
今は、それを素直に喜ぼう。
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